ボストン・ダイナミクスAI研究所の研究員で、ヒューマンロボット・インタラクションの専門家であるケイト・ダーリング氏がモバイル・ワールド・キャピタル・バルセロナ主催のデジタル人材に特化したイベント「Talent Arena 2026」(MWC26共催)で、基調講演を行った。ダーリング氏は、高度なロボット工学と自律システムの発展がもたらす課題を分析し、ますます高度化する機械に対して、人間が感情的および社会的にどのように反応するかに焦点を当てて話をした。
「私たちはロボットにあまりにも多くのことを、投資家らはあまりにも期待しすぎている。変化は確実に訪れるが、私たちは忍耐強くなければならない」と、ダーリング氏は述べ、課題は技術的な側面だけでなく、人間的な側面にもあることを強調した。「人々の期待は、ロボットが実際に何ができるかという現実と一致していない。だが、ロボット工学の技術を理解すれば驚くべきことを実現できる」と付け加えた。
ダーリング氏はロボットの有用性を強調しつつも、「ロボットが人間に似ている必要はない」と示唆する。「人間のスキルを、ロボットという機械に再現させる考えは、テクノロジーを退屈なものにする。もっと多くのことができるのに、なぜ人間を作らなければならないのか」。同氏はこの点を説明するために、「ヒューマノイドロボットは、プログラミングが非常に難しく、家事のタスクさえまだ解決できていない」と明かす。
ダーリング氏はAIシステムの設計の初期段階から倫理とガバナンスの原則を統合すると提言もした。「倫理は補完的な要素としてではなく、技術革新の構造的構成要素として扱うべきだ」。さらに「私たちは、人間に責任を負わせるべきなのに、倫理的な責任を機械に負わせようとする。責任や非難を機械に転嫁するのは、真の問題に対処していないことになる。人間と企業が責任を負わなければならない」とした。
ダーリング氏は、ロボットが雇用を奪うとの考えを否定し、「ロボットは人間にとって退屈な多くの作業を補助し、人間の仕事の質を向上させることができる。すべてはロボットの使い方次第だ」と主張し、「政治家は企業が追求する経済的利益を超えて、人々と雇用を重視すべきだ」と訴えた。(田中克己)
写真 © 2026 GSMA / MWC






