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2025.10.30

【シリコンバレー視察2025】テイラー、ヘッドレスERPによる新しい業務システムの作り方を提案

 ERPスタートアップのテイラーテクノロジーズは、部品をAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で提供するヘッドレスERPによる業務システムの新しい作り方を提案する。柴田陽CEOによると、洋服を例に既製品(SaaS)と仕立て(手組みシステム)を組み合わせて使う方法で、例えば会計や人事などはERPの標準プロセスを採用し、競争領域の販売管理や生産管理などをヘッドレスERPでユーザーが開発する。

 一般的にSaaSベンダーは「既成品のカスタマイズはバージョンアップを妨げる」と、カスタマイズを否定する。「コストも高くなる」と主張する。確かに、パッケージソフトのカスタマイズはそのベンダーのアップデートを受けられず、陳腐化していく可能性がある。屋上屋を架す構造になり、保守改修の難易度が上がりブラックボックス化しやすくもなる。

 だが、既製品がカバーする標準領域は、競合他社と差別化できるものではない。対して、販売管理などの競争領域は、いかにして優位になるものを創り出すかが問われる。そこで、テイラーは「既成品の手軽さと仕立ての自由度の、良いとこ取りをする」ヘッドレスERPの考え方を採り入れたローコード開発型ツールを開発した。具体的には、いくつかの機能部品(モジュール)を用意し、ローコード開発基盤とAPIの組み合わせで、開発すること。柴田氏によると、開発基盤で機能部品を開発し、それらをAPIで組み合わせて、業務システムを作り上げていくものだという。

 柴田氏は「カナダの通販サイトを展開するShiipifyが発注管理や受注管理など約20個の機能モジュールとAPIを用意している」と、テイラーと同じようなコンセプトを紹介する。基幹システム、とくにSAPはフィットツースタンダードを推奨するが、はみ出す部分がある。「標準化と生産性向上を両立させる」と柴田氏は述べる。メインのターゲットになるSAPとオービックのERPでは、販売管理など必要な機能を要件定義から約8週間でデリバリできるようにするという。

  実は、柴田氏は5回の起業を経験する。東京大学経済学部在学中、バーコード価格比較アプリ「ショッピッ!」、来店ポイントアプリ「スマポ」、タクシー配車アプリ「日本交通タクシー配車」「Japan Taxi」の立ち上げに参画、そして、2020年にテイラーを創業した。テイラーは日本拠点の組織として、製品コンセプトが評価されてスタートアップ育成プログラムのYコンビネーターから採択もされる。シリーズAで国内外のVCから約4000万ドルを調達もする。いよいよ本格活動の段階に入る。

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