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NEWS&TOPICS

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2026.03.09

【MWC26】NTTグループ、社会を変革するAI関連サービスやソリューションを紹介

 NTTグループは「Photonics Unlocks an Intelligent Power-Optimized Future」をキーメッセージに掲げ、AI活用拡大による消費電力増加を見据えた、IOWNを中心とした光技術による低消費電力化の取り組みや、人々の暮らしや企業活動に寄り添って、より豊かな社会へ変革していくためのAI関連サービスやソリューション、デジタルインフラなどを紹介した。3月4日の基調講演では、島田明社長兼CEOが登壇し、次世代情報通信基盤IOWNの光技術による低消費電力化の意義と、その具体策である光電融合デバイスの商用化や光量子コンピュータなどを説明した。

 「AI-Resilient Infrastructure with Photonics」のゾーンでは、光電融合技術でデータセンターなどの低消費電力化を実現するIOWNの最新の取り組みや、省スペース・高速化・省電力・低投資で大規模計算が可能な光量子コンピュータなど、AI活用の拡大などに対応できる持続可能なインフラの取り組みを展示。人とAI・ロボットが共生する世界を見据えた「Network for AI」など、6G実用化に向けたモバイルネットワークなど、デジタルインフラにおけるAI活用の取り組みも紹介した。

 「AI-Powered Services and Solutions」のゾーンでは、NTTデータを中心にグローバルに展開しているAgentic AIや、ロボットの遠隔操作、フィジカルAIによる自律制御が可能な現在開発中のプラットフォームサービスなど、企業活動のあり方や産業を変革する取り組みを紹介。NTTドコモの個人向けAIエージェントや、AI活用により没入感のあるエンターテインメント体験を可能とする開発中のソリューションも出展した。

 NTTドコモとNECが共同開発したAIとGitOpsを使って構築したパブリッククラウド(AWS)上で商用5Gコアネットワークのサービス開始を発表もした。オンプレとパブリッククラウド上で5Gコアを作成し、インフラの障害時にAWS側をバックアップとして機能させるもの。従来の構築法は100以上のドキュメントを参照し、複雑な設定ファイルや修正対応など手間がかかっていたが、今回の方法で構築までのリードタイムを従来比で80%短縮し、コストと人手の削減、さらに自動化による品質向上を図れたという。

 もう1つは、遠隔のGPUリソースを活用したAI推論処理の実現を紹介する。ネットワーク内に分散配置したGPUリソースを、5GネットワークとIOWN APNで接続し、端末の処理を代行する機能を実装する。AIの推論処理と通信を一体で処理する制御技術で、例えばロボット制御への活用を可能にする。さらに、パーソナルAIエージェント「SyncMe」のパイロット版の提供開始を発表した。SyncMeは、ユーザーが詳細な指示(プロンプト)を出さなくても、AIが状況や嗜好を理解して最適な提案や情報収集を行うもの。

島田社長兼CEOの基調講演、光技術で消費電力を100分の1に

 NTTの島田氏は基調講演で、生成AIなどAIの爆発的な普及により、データセンターやサーバーの需要が急増し、従来の電気配線をベースとしたインフラでは、データ処理速度の向上に伴って消費電力が劇的に増加してしまう課題を指摘した。その解決策がIOWN構想と光電融合(PEC)技術だという。この消費電力の課題に対し、通信から計算処理までのインフラを電気から「光」に置き換える次世代インフラ構想「IOWN」を推進する。光通信はデータ量が増えても消費電力が非常に少なく、距離による効率低下も防げる。中核となるのがPEC技術だ。

 PEC の商用化は2026年度中の予定。光技術をデータセンター内部(ラック間やサーバー基板間)へ導入する。ブロードバンドのデータ処理チップなどを組み合わせたPEC2搭載スイッチを実用する。さらに2032年を目標に、半導体パッケージ内部やチップ配線の間まで光技術を導入し、最終的には消費電力を従来の100分の1に削減することを目指す。

島田氏によると、AIの次の時代を担う量子コンピュータ領域においても、NTTは独自の光技術でアプローチしているという。極低温や真空環境が必要な従来の超伝導方式とは異なるもので、室温・常圧で動作し、省電力かつ圧倒的なスケーラビリティ(拡張性)を実現する。現在は実験段階だが、2030年までに100万量子ビットの達成を目指している。これが実現すれば、個々の患者に合わせた創薬や次世代エネルギー資源の開発など、社会的な課題の解決も可能になる。将来的には世界最大規模となる10億量子ビットを実現させる。(田中克己)

写真 © 2026 GSMA / MWC

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