ガートナージャパンがこのほど発表した国内のソフトウエア開発におけるAI活用の現状に関する調査結果によると、あらゆる工程、用途にAI活用が急速に進んでいることが明らかになった。同調査は25年7月、日本国内でソフト開発に従事する約400人を対象に、AI活用状況を聞いたもので、要件定義からプロジェクト管理までの9工程・用途において、「使用中」と回答した割合は31.8%から49.0%で、最も多かったのが「コード生成・補完」(49%)だった。次いで、「コード・レビュー」(40.0%)、「要件定義」(39.8%) などが続く。前回 調査(24年6月)では、各工程・用途におけるAIの「使用中」の割合は12.8%から21.2%だったので、2倍から3倍に増えたことになる。

同社ディレクター アナリストの関谷和愛氏は「コーディングに関する工程で、特に利用率の伸びが高いのは想定通りだが、要件定義工程でのAI利用率の伸びが24年の14.4%から25年に39.8%と、想定外に高く、関心が急速に高まっていることが分かる」と述べている。AI活用による、成果トップ3は「開発効率・生産性の向上」(57.9%)、「コード品質の向上」(44.1%)、「ドキュメント品質の向上」(30.6%)になる。AI利用者の過半数が生産性の向上を実感しているほか、成果物の品質向上を利用の効果に挙げる回答も多くあった。 一方、発生した課題は、「脆弱性の生成や情報漏洩といったセキュリティ問題」(31.3%)、「生成したコードのライセンスや著作権の問題」(26.4%)、「保守性の低下」(25.6%) をトップ3に挙げる。ただし、9割弱の開発者がAI活用をポジティブに捉えており、否定派はわずか1.3%だ。

また、米ガートナーは2030年に約80%の組織が、生産性を比較的に向上させるAIネイティブ開発プラットフォームによって、大規模なソフトウェア・エンジニアリング・チームから小規模で敏捷なチームへと開発体制が進化すると予測もしている。(田中克己)





