日本オラクルが7月9日、2025年度(24年6月から25年5月)の事業戦略説明会を開催した。三澤智光社長は冒頭、「米オラクルの売り上げが約8兆円に対して、受注残が約15兆円あるのはクラウドの勢い」と語り、マルチクラウド戦略やオラクル・クラウドの好調さを強調した。
同社の25年度の重点施策は4つある。1つめは、基幹システムのレガシーモダナイゼーションによるレジリエンスの向上で、クラウドの活用と再利用可能な部品化が重要な役割を果たすという。三澤氏は「インフラのインテグレーションがなくなり、システム更改が極小化する」と、ユーザーの大幅なコスト削減にも貢献するクラウド・シフトがSI企業にビジネス変革を迫るという。「次の一手を打つことが重要」と説く。また、「脱VMウエアはそう簡単にできることではない」とし、VMウエアによる仮想化環境の継続施策を用意する。
2つめは、ユーザーやパートナー向け専用クラウドの提供になる。「高まるデータ主権やソブリンクラウド要件に応える専用クラウドの需要が高まっている」(三澤氏)とし、野村総合研究所が証券会社向けシステムに採用したことや、富士通が25年4月にも基幹システム向けに導入する計画を紹介した。3つめは、ガバメントクラウド移行のさらなる推進になる。「年末からクラウド移行が始める」(三澤氏)とし、自治体に強い地域パートナーらとの協業を推し進める。数百を超える自治体がオラクル・クラウド・インフラ(OCI)を採用すると期待もする。4つめは、クラウドネィティブSaaSの普及による経営基盤の強化になる。
これらクラウド施策に加えて、ユーザーのAI活用推進の施策もある。「東西データセンターにエヌビディアのGPUをもっと数多く提供する」(三澤氏)とし、1万個弱のGPUを搭載した大規模なデータセンターを構築する計画を明かす。(田中克己)