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2024.07.17

BIPROGYが中堅・中小企業開拓に本腰、5年後に売り上げ40億円目指す

 大手企業向けSI事業を展開するBIPROGYが中堅・中小企業市場の開拓に本格的に乗り出そうとしている。2024年4月に陣容約50人の事業開発本部を新設し、5年後に40億円の売り上げを目指す計画。事業開発本部長の中川英晃氏によると、社会課題を解決する事業を創り出す経営ビジョンの1つが中堅・中小企業向けDX(デジタル変革)推進事業になるという。

 背景には、「中小企業のデジタル化が遅れている」(中川氏)こともある。だが、BIPROGYに中堅・中小企業のノウハウや知識は乏しい。彼らにアプローチする販売チャネルもない。おそらく経験したのはオフコン時代の30年以上も前のこと。そこで、中堅・中小企業を顧客とする金融機関や通信会社、事務機関連会社などとの協業を推進する。そのパートナーのノウハウやサービスに、BIPROGYの大手向けデジタル活用などのノウハウや知識、サービスを組み合わせて、一気通貫のサービスとして提供することを考えている。

 その第一弾が2024年6月に発表した商工組合中央金庫(商工中金)との協業だ。商工中金にとっても、中小企業をどう盛り上げるかは重要課題の1つ。商工中金はファイナンスやコンサルティングなどは手掛けるものの、デジタルのノウハウはない。DXの専門家でもない。一方、BIPROGYは個社システムの開発から社会課題の解決へと、舵を切っているところ。「プロダクトを売るのではなく、課題解決の一助になりたい。ケイパビリティを発揮する」(中川氏)。

 同社事業開発本部事業推進二部DX推進プロジェクト1グループ上席スペシャリストの三澤潔氏は「中堅・中小企業のDX促進に向けた課題が3つある」という。1つは、ITに対する理解や知識の不足だ。「何をすればいいのか分からない」という経営者の発言に端的に現れている。取り組むべき方針を打ち出せないということ。2つめは、DXを推進する人材がいないこと。3つめは、DXに取り組むきっかけがないこと。それらを解決するために、IT診断とカスタマーサクセスなどを用意したという。

 IT診断とカスタマーサクセスのサービスは2022年9月に提供を開始し、累計約50社が活用する。IT診断はDX実現に向けた課題や解決方法を診断し、最も適するSaaSなどITサービスを提案し、導入などを支援するもの。カスタマーサクセスは発生した課題に対して、都度適切な対応を行うことを支援する伴走型サービス。「何をすればいいのか分からない中堅・中小企業の経営者らに、課題と解決方法を明確にし、市販のSaaSの中から、このITサービスがいいとアドバイスし、導入を支援する」(三澤氏)。中小企業らのDXを推進する主体のキープレイヤーは、中小のチャネルを持つパートナーになる。つまり、商工中金などということ。商工中金は自社の営業ツールを使って、まず中小企業の課題を特定する。例えばサプライチェーンにあるなら、そこからDXファイナンスやIT診断など活用する推奨サービスに振り分ける。

 BIPROGYはサービスのデジタル化も進めている。IT診断は同社の専門家らがヒアリングし、それに基づいてDXの方針や具体的なツールなどを提案するスポットコンサルティングに近いもので、費用は約180万円になる。そこをサービス化し、コストを下げることも考えている。近藤知幸・同本部事業推進二部DX推進プロジェクト長によると、サービスをデジタル化し、プラットフォームサービスにするという。例えば、課題を認識、整理するための仮説検証とヒアリング、解決の選択肢となる事例などの情報提供に加えて、導入支援などのツールやコンサルティングの提供になる。2025年度のサービス提供開始を予定。新たな収益源にもなる。(田中克己)

写真は左から三澤潔氏、中川英晃氏、近藤知幸氏

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