楽天グループは「Intelligent Growth(インテリジェントな成長)」をテーマに、AIを活用して世界の通信業界が抱えるコスト増大や運用効率化などの課題をどう解決し、成長していくかを示す展示にする。AIネイティブな通信インフラを体験できるデモも用意する。セキュリティとプライバシーを守り、世界の通信事業者が「安心して、AIを導入、運用できる仕組み」をアピールする。世界に先駆けて構築した携帯キャリア技術「Open RAN」をはじめ、クラウド技術や次世代運用支援システム(OSS)など、完全仮想化ネットワークの最新ソリューションも展示する。これまでの仮想化ネットワーク技術の強みに、AIの賢さを合わせて、世界の通信インフラをどう進化させるかを世界向けにアピールする。
MWC26で、いくつかの発表も行った。1つめは、楽天シンフォニーのストレージソリューション「Rakuten Cloud-Native Storage」だ。データセンターやエッジ環境など、用途や場所に応じて拡張可能なGoogle Cloudの「Google Distributed Cloud コネクテッド」サーバー製品に標準搭載される。2つめは、楽天モバイルと楽天シンフォニーがノキアのクラウドネイティブネットワーク機能(CNF)を、楽天シンフォニーが提供するクラウドソリューション「Rakuten Cloud」に展開し、楽天モバイルの商用コアネットワークにおいて運用を開始したこと。
3つめは、楽天シンフォニーがネットワーク負荷の高いアプリを実行するために最適化した Kubernetes プラットフォーム「Rakuten Cloud-Native Platform」と、サムスン電子のクラウドネイティブな仮想化無線アクセスネットワーク(vRAN)と仮想化コアネットワーク(vCore)の相互運用性試験に成功したこと。
三木谷社長兼会長、通信業界の新たなビジネスモデルを創り出す
三木谷浩史社長兼会長は基調講演で、通信インフラとビジネスが今後、どうなっていくかを語った。約30年前に誰もインターネットで買い物をしていなかった時代に楽天を創業し、周囲からクレイジーだと言われた。だが、世界初のオンラインマーケットプレイスから始まり、オンライン旅行代理店、ネット銀行、クレジットカード事業、ネット証券などと事業を拡大した。
モバイル事業への参入を決めた際も、「周囲からはクレイジーだ」と言われた。モバイル接続の業界は垂直統合の古い体制で、ディスラプションと再定義が必要だと考えた。ビジネスを成長させるのはシンプルで、「加入者数の増加」「ARPU(1ユーザー当たりの平均売上)の向上」「コストの削減」になる。従来のモバイル企業は通信サービスの上にエコシステムを構築しようとするのに対し、楽天は逆のアプローチをとった。すでにeコマース、金融、旅行など日本国内で70以上のサービスを展開しており、そこにモバイル事業を追加し、ビジネス全体を強固にする戦略だ。単なる通信サービスではなく、ポイントプログラムなどエコシステムのメンバーにすることが重要。楽天モバイルの加入者がそうなっている。現在、アクティブユーザーは4560万人に達し、モバイル加入者は1000万人、年間3兆件以上のデータポイントを持っている。これらの重要なデータを活用し、独自のLLM(大規模言語モデル)を用いて、顧客体験のパーソナライズや、モバイルサービスを提供している。
料金競争が激化す中、同社は総運用コスト(CAPEX/OPEX)を下げるため、ネットワークの完全仮想化を採用した。自社のクラウド、OSS、BSSを活用し、世界最大規模のソフトウェアベースのOpen RANネットワークを構築する。サービス開始から3年間で10万局以上の基地局を構築し、さらにカバレッジを向上させるために、衛星ネットワーク企業「AST SpaceMobile」に投資などをする。「通信業界は、ネットワーク接続の提供から、より豊かな消費者サービスへの変革期に来ている」。三木谷氏はこう締めくくった。(田中克己)
写真 © 2026 GSMA / MWC






