5Gの商用化が2020年にも始まる。東京オリパラを契機に、その応用が急速に拡大することが期待されている。その1つであるスポーツテック市場は19年の310億円から2025年には1547億円に拡大すると、野村総合研究所(NRI)は予測する。とくに大規模スタジアムでの競技で、5Gの特性を生かしたものが増えるという。たとえば、来場者が所有するスマホを活用した連動コンテンツやサービスを提供する。そのためには、対価を支払う価値のあるコンテンツが必要になる。スポーツはスマホで楽しむコンテンツの1つになるということ。
ただし、スポーツ以外のコンテンツも充実している。若者のスポーツ視聴頻度も低下しているだけに、5Gなどを駆使した魅力あるコンテンツを用意できければ、「消え行くコンテンツの1つのなる」とNRIはみている。
競技レベルの向上にITを活用する例は増えるだろう。トップレベルの感覚知や経験知をITで言語化、数値化することだ。NRIによれば、米メジャーリーグは「効率よく点を取るためには」という課題を解くために、打球の速度と角度を数値した。結果、「時速158㎞以上、30度前後であれば、8割強の確率でヒットになる」、「打球速度が上がれば、その前後の打球角度でもアウトにならない確率が上がる」などが分かった。つまり、打球速度を上げるとともに、打球角度30度付近の打球を打てば、効率よく点が取れるということ。その実現には、スイングスピードの向上とフライを打つ練習が必要となる。こんな活用も期待される。(田中克己)