情報処理推進機構(IPA)が4月24日、IT人材の実態などをまとまた「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2022年度)」の報告書を公開した。企業に所属するIT人材1500人を先端IT従事者と、非先端IT従事者に分類して分析したところ、いずれも半数以上がキャリアアップに前向きなことが分かったという。しかし、企業が取り組むキャリアアップのための計画的な配置や育成の計画に課題が残されている。
企業に所属するIT人材1500人のうち、「これまで担ってきた職務・役割に囚われず、大きくキャリアチェンジしたい」と回答した割合は、先端IT従事者が20.4%、非先端IT従事者が18.1%だった。「これまで担ってきた職務・役割よりも高いレベルであったり、これまでの職務・役割に近しい別の職務・役割を担ったりしたい」と回答した割合は、先端IT従事者が39.3%、非先端IT従事者が32.2%で、大きなキャリアチェンジや高いレベルの職務・役割を志向していることが分かる。
キャリア形成上の悩みに関する質問では、先端IT従事者の32.2%、非先端IT従事者の28.5%が企業の「キャリアアップのための計画的な配置・育成がされていない」と、不満の回答をする。新たなスキル獲得に有効な方法は、先端IT従事者の28.9%が「社外兼業・副業における経験」、19.7%が「組織外の勉強会やコミュニティ活動等への参加」を挙げる。IPAは、従来からのコンテンツ学習に加えて、キャリアアップの場として越境学習や社外のコミュニティの活用を導入しているとみる。しかし、企業内のIT人材を評価・把握する基準が「ない」との回答が80%も超えている。(田中克己)