リアルタイム処理・分析のアプリケーション開発プラットフォーム(PF)を手掛ける米Vantiq (バンティック)のCEO兼共同創業者、Marty Spritzen(マーティ・スプリンゼン)氏は「世界で最初に実現した」と、同PFの優位性をアピールする。データを瞬時に処理、分析する機能を備えるソフトウエアは少なくないように思える。だが、その多くは1時間前、12時間前、1日前の過去データを処理、分析している。刻々と変化する災害への対策は、その瞬間のデータから瞬時に判断することを求められる。
気候変動はその1つになる。カルフォルニアの山火事、日本の地震、洪水などで、人が家を失う。命を落とすこともあるだろう。その避難指示に間違いは」許されない。電気自動車(EV)の自動運転やドローン、ロボットによる配送が交通や輸送のプロセスを変革し、街づくりの見直しを迫る。未来を予測するのは難しいが、そこにテクノロジーが活かし、変革を先取りすることは可能だろう。
それを可能にするリアルタイム・アーキテクチャの開発は難しい。しかも、AIの普及がアーキテクチャに信頼性をより強く求める。誤った判断は許されないからでもある。スプリンゼン氏は「リアルタイム、かつ信頼できるAIシステムを構築する」と述べ、それに応えるのが同社PFだという。リアルタイム処理を前提に設計した同PFは、例えば河川の水位や風速などをセンサー測定し、異常が起きた瞬時に、避難場所や避難ルートなど数万件のイベントを発信する。氾濫の有効な対策を関係者に示す。そのために必要な膨大なデータをリアルタイムに処理・分析、対応するシステムを構築するのは同PFということ。
同PFは、そんなシステムを短期間に構築できる。スプリンゼン氏によれば、例えば、ソフトバンクがスマートビルディングアプリを開発しようとした際、大手クラウドベンダーの製品を組み合わせて、12人のチームで開発に1年間取り組むものの失敗に終わったという。ところが、VantiqのPFが使ったら、わずかエンジニア1.5人で6カ月以内に作り上げた。抽象化、自動化されているので、すべてプログラミングをする必要がなく、数週間から数か月で構築できるという。
「このようなリアルタイムの重要性を理解する日本のユーザーにマッチするソフトウエアだ」と、スプリンゼン氏は日本のサイバー空間とフィジカル空間を融合するSociety 5.0に期待もする。その1つNTTデータと共同開発した災害対応管理システムD-Resilliは、地震や洪水、台風などの災害時に、リアルタイムに最適な救助指示を出すもの。例えば、橋が崩落したら、「このルートを使う」などと非難経路を通知する。「そんなアプリはある」と指摘する人もいるだろうが、1人、2人なら可能かもしれないが、同社PFで構築したシステムは異なる場所にいる数千人、数万人に対し、個々の指示を出す。救助隊らと状況を共有もする。
Vantiqは、リアルタイムPFに、パートナーの知識やソリューションを加えることで、完成度の高いアプリケーションを構築できると考えている。スプリンゼン氏は「当社が技術基盤を提供し、パートナーがソリューションを創り出す関係」と、協業の重要性を説く。
写真の右がスプリンゼン氏






