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2025.06.02

NRIの李氏がITビジネス研究会で、「中国AI最新事情」を語る

 野村総合研究所(NRI)未来創発センターの李智慧氏が5月27日、ITビジネス研究会の5月特別セミナーで「中国AI最新事情」というテーマで講演をした。デジタル中国建設構想に沿って、デジタル経済が成長し、GDPの約4割を占めるほどに発展する。習近平国家主席はAIのさらなる強化をする方針を打ち出す。李強首相は2024年7月に上海で開催された世界AI大会に出席し、AIグローバルガバナンス宣言も行った。

 NRIの李氏によると、中国のAI企業は約1700社で、その数は米国に次ぐ世界第2位になる。AI基盤モデルも次々に開発されているが、数社に収斂されつつあるところ。国産のAI基盤の重要性はどんどん増す。ソブリンAIだ。ディープシークの登場はその流れを変えた。AI人材も豊富で、世界トップレベルのAI研究者の半分は中国出身者。注目したいのは、ディープシークの140人の技術者が香港でAIを学んだこと。トランプ政権が中国を排除しようとする中、中国は技術も人材も自ら育成し、新しい技術を開発しようとしているのだ。米国から調達できなければ、中国で製造する。そのためには研究開発を加速させる。すでに模倣から脱却する。ディープシークはその典型だ。AI新興企業は次々に生まれ、AIの民主化も進む。低コストで手に入るということだ。

 そんな中、日本企業は中国AI企業とどんな関係を築けるのか。李氏は、社会課題解決に活用することを提案する。実は日本のファミリーレストランで、中国製の猫型配膳ロボットが働いている。人手不足を解消するためだ。こうしたものを、ゼロから作るのは時間もコストもかかる。ここに1つの可能性がある。経済安全保障などからLLMなどの活用には躊躇するだろうが、すべてを拒否する理由はないだろう。(田中克己)

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