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2024.03.14

生成AIのインパクト第2回「日立製作所」、生産性30%向上

 日立製作所は2027年度に基本設計から総合テストまでの生産性を30%向上させる。23年5月に設置したGenerative AIセンターの吉田順センター長が2月9日に開催したJEITAの「ソフトウエアエンジニアリング技術ワークショップ」で、Azure OpenAI Serviceを使って実現させることを明かした。「遅いように思われるが、大規模システムが多いので、(信頼性を上げるなどに)時間がかかる」とし、PoC(実証実験)中で、「これならいけるという範囲を特定している」。

 研究開発グループ主管研究長の小川秀人氏は「これまで大きなシステムは分業で作ってきた。高品質なものをつくるためだ。そこに自動化、アジャイル開発、さらに機械学習を取り入れてきた。そして、今、生成AIを使う議論が始まった」とソフト開発の変遷を話す。現在、ソリューションの提案、ソリューションの開発、レガシーマイグレーション、運用保守、品質保証などを生成AIがサポートする。まずGitHub Copilot を使って、コーディングや単体テストの効率向上を確認し、詳細設計や総合テストなどへと広げていく。「Webシステムの開発に試したが、分かったのはSEの知識に新たな知識を加えること」。

 アプリケーションサービス事業部の立川茂本部長は「PoCの試行はこの3月末で終えて、4月から『このへんに使ってみよう』となる」と、生成AI活用の方向を説明する。「GitHub Copilotは使い慣れると、コーディングの効果が上がる。Azure OpenAI Serviceは工夫すると、精度の高いソースコードを作れる」なども分かったという。ただし、プロンプトが多くなる。「生成AIは何か指示すると、それなりの回答が返ってくるが、思っていたものとは限らない」(小川氏)。

 開発プロセスが大きく変わり、協力会社との役割分担が変わる。立川氏によれば、例えば、詳細設計は協力会社、レビューは日立となる。コーディングのレビューや単体テストも協力会社になる。日立はその途中のレビューをする。そこに生成AIが入ってきて、コード生成する。詳細設計からプロンプトを作ることなり、それを誰がチェックするのか、コードのチェックを誰がするのか、などとなる。このように仕事量よりも、タスクが増える。「いずれにしろ、人が最後にチェックするので、専門知識がいる。ドメインの知識を持った会社や業界固有の知識を持った協力会社などが強くなる」(立川氏)と予測する。(田中克己)

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