PwCはこのほど、世界46の国と地域の5万人超から従業員の勤務態度や行動を調べた「グローバル従業員意識・職場環境調査」結果を公表した。「今後12カ月間に転職する可能性が高い」との回答が26%と、22年から7ポイントも増加した。「過労を感じている人」や「月々の生活費をなんとか支払っている人」、そして「Z世代」の増加が目立ち、「世界的な景気後退にもかかわらず、大量離職時代が継続している」と分析する。
一方、「転職する可能性が高い」と回答した従業員で、「自分の仕事が充実している」との回答は半数弱、「職場において、自分らしくいられる」との回答も51%だった。「月末に手元にお金が残っている」との回答は38%で、22年より9ポイントも減った。また、21%が複数の職に従事し、そのうち69%が副業の理由に追加収入の必要を挙げている。つまり、多くの従業員が賃上げ強く要求し始めているということ。PwCグローバル会長のボブ・モリッツ氏は「世界の労働力は2つに分断されている。価値のあるスキルを持ち、学び続けることができる環境が整っている人々と、そうでない人々」と語る。別の言い方をすれば、スキルを持たない人々は経済的な安定性が低く、必要なスキルのトレーニングを受けることもできないということ。だが、ビジネスの成功には、全従業員のスキル向上が欠かせないので、金銭的に余裕のない人々にもトレーニングを受ける機会を提供すること、と説く。
一方、「専門的なトレーニングが必要」と回答した従業員のうち、3分の2超が仕事に必要なデジタルスキル、分析スキル、コラボレーションスキルの向上を「雇用主が支援してくれると確信」と回答する。ただし、専門的なトレーニングを必要とする仕事に就いていない人々は、半分以下になる。また、世界中の従業員の半数以上が、今後5年間に「AIがキャリアにプラスの影響を与える」、31%が「職場の生産性や効率を向上させる」、27%が「AIは新しいスキルを学ぶ機会」と、それぞれ回答している。(田中克己)