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2022.09.16

米エヌビディアが日本市場でも産業メタバースPFを展開

 GPU(グラフィックス・プロセシング・ユニット)を中心に展開する米エヌビディアの日本法人が産業メタバースを構築するプラットフォームに位置付けるOmniverseの提供に一段と力を入れている。自動車メーカーなど数十社がスタータキットを導入し、工場のライン設計などのPoC(実証実験)を始めているという。エンタープライズマーケティングでシニアマネージャーを務める田中秀明氏によれば、複数人が仮想空間上で一緒に作業するコラボレーションのプラットフォームとしのOmniverseの機能拡張や強化を図っているところだという。

 Omniverseは、複数人が3次元仮想空間にリモートから接続し、設計などの共同作業に使うもの。20年にベータ版、21年11月に製品版のエンタープライズ版の提供を開始した。たとえば、エンジニアやデザイナーらが仮想空間に入り、工場のライン設計を共同で行う。それぞれが担当する部分の設計にあたり、ラインのデジタルツインを作り上げていく。アマゾンは自動倉庫の搬送ロボットを稼働しやすいような倉庫設計にも使っているという。

 同社はメタバースの開発プラットフォームでもあるOmniverseの機構拡張を次々に発表している。21年末に発表した音声をベースに3次元画像(顔)を動かすAUDIO2FACEは、音声を解析し、アバターの顔や口を会話しているように動作させる。ほぼ同じころに発表したAVATARは、たとえば店舗内で顧客と会話しながら、注文を取るなど会話するキオスク端末として使えるもの。日本でも接客業などの企業から関心を寄せているという。

 Maxineと呼ぶシステムは、音声やビデオをよりクリアにするもので、たとえばカメラの目線に顔を修正したり、備える自動翻訳時に各言語の発音にあったアバターの口の開け方などに修正したりする。22年8月には、本物そっくりのデジタルヒューマンを作成、カスタマイズするためのクラウドネイティブなAIモデルとサービスを統合したAvatar Cloud Engine (ACE)は、メタバースで動かすアバターの作成に役立つもの。アバター作成ツールは複数のソフトベンダーが開発、販売をしており、それらをOmniverse上にプラグインするコネクタも用意している。

 産業メタバースに取り組むうえでの問題が表面化もしている。欧米や中国に比べて、日本の開発スピードが遅いこと。ユーザーの社内にエンジニアが不足していることにある。多くの日本企業がIT企業に依頼し、PoCを実施する体制になっているからだろう。エンジニアの育成、獲得に取り組まなければ、デジタルツインやアバターの活用など産業メタバースでも出遅れてしまうかもしれない。(田中克己)

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