日本オラクルが11月4日に発表したコロナ禍でのキャリアに対する意識の変化やAIの活用に関する調査「AI@Work」の日本における調査結果によると、「孤独感や疎外感」や「コントロールが難しい状況」、「1年以上にわたって行動が制限され、不安定な状態が続き、不安を抱き、自らの人生やキャリアのコントロールが難しい」などと感じる従業員が増えていることが分かった。
同調査では、20年に67%が「マイナスの影響を受けた」と回答したが、21年は「職業人生で最もストレスの多い年」と50%が回答し、45%が「20年より21年の方が就業中にメンタルヘルスの問題で苦しむ機会が多い」と回答する。コロナ禍に「私生活と仕事をほとんどコントロールできていない」と「全くコントロールできていない」と感じる従業員の数は46%にもなる。また、67%が「私生活に行き詰まり」を感じ、将来の不安や、かつてないほどの孤独を感じているという。
そうした中で、「この1年で自分の人生について振り返ることがあった」との回答は9割近くにもなり、「自分にとっての成功の意味が変わった」と8割が回答する。現在の最優先事項は「ワークライフバランス」(30%)、「メンタルヘルス」(30%)、「自由度の高い働き方」(24%)を挙げる。また、仕事で行き詰まりを感じる理由に、「キャリアアップの機会がない」(22%)、「変化を起こすことに恐れを感じている」(17%)とする。
注目したいのは、「変化を起こす準備ができている」との回答が6割超もあったこと。背景には、「大きな困難に直面している」ことがある。たとえば、「経済的な不安定さ」(21%)、「どのようなキャリア選択が自身にとって有益か分からない」(18%)、「自信がない」(17%)、「社内に成長機会がない」(17%)などと、様々な理由を挙げる。
今後の最優先課題は仕事面での成長とし、キャリアアップの機会を増やすためなら、「休暇」(36%)や「賞与」(30%)、「給与の一部」(29%)など、主要な福利厚生の犠牲も厭わないという。その一方で、企業の支援に不満な従業員が8割にもなり、「昇給」(27%)や「学習やスキル開発の機会」(26%)、「社内で新しい職務に就く機会」(20%)などを求める。
そうした中で、AIによる仕事の変化が起きることを期待する声がある一方、「人間がキャリア開発に重要な役割を担っている」と改めて思い始める従業員も少なくない。たとえば、AIによる助言では、「個人の経験に基づいた助言」(39%)、「長所・短所の特定」(34%)、「履歴書では分からない個性に適した役割の推奨」(25%)などになる。企業が従業員の要望にもっと耳を傾ける必要があると考えているものの、AIなどの高度なテクノロジーを利用してキャリアアップをサポートする企業に「留まる可能性が高い」との回答は4割超だった。(田中克己)