「米中のプラットフォームを社会インフラとして使う」。インターネット専門の広告代理店であるオプトホールディングスの鉢嶺登社長は10月16日、新経済連盟主催の最先端ビジネスセミナーで、国会議員ら参加者にこう提案した。日本のネット企業が世界で勝てないのは、ユーザー数にある。たとえば、携帯電話の世界を見ると、NTTドコモがiモードを開発したが、その仕組みを世界に普及させたのはアップルやグーグルだ。動画でも、ニコニコとYoutubeをみれば、その差は歴然だ。
たとえば、Twitterのフォロワー数をみると、日本のトップは700万強だが、世界トップは1億を超えている。10倍以上の差がある。なので、広告金額は10倍に、時価総額も10倍になる。日本発プラットフォームを世界で通用させるのは難しいといえる。なんとしても取り組みたいなら、最初から米国市場を狙うか、プラットフォーマを買収するかだという。
中国のデジタル化も急ピッチに進んでいる。スマホ決済が当たり前になり、世界を大きくリードする。最大の特徴は、高速のPDCAサイクルにあるという。「先賞試、後管制」という李克強首相の発言にあるように、「まずは試しにやってみて、問題はあれば、後で規制する」。実際にやることで、データはどんどん収集される。中国版スターバックスとして注目されているラッキンコーヒーは創業19カ月でNASDAQに上場し、今年中にもスターバックスの店舗3600を超すと言われている。
鉢嶺社長は「日本もエリアを限定し、規制緩和でデータ収集を実現させること」を提案する。さらに、米中プラットフォームへの規制と徴税も欠かせないと主張する。(田中克己)