プロジェクト管理ソフトの米Wrikeが11月13日、職場における生成AI導入に関する最新の国際比較調査を発表した。日本、米国、英国、ドイツ、フランスの5カ国の各200人を対象に2025年9月に実施したもので、日本の従業員はAIツールの「正確性」と「使いやすさ」を極めて重視する一方で、AI導入を主導するリーダーシップ層からの明確なビジョンの欠如と感じていることが分かったという。
同調査によると、「日常的にAIツールを利用する」のは、米国が82%、英国が86%、ドイツが88%、フランスが78%、日本が73%と、日本の利用率が最も低い結果となった。しかも、日本のAI利用者の多くが週に「1~2種類」のツールしか使用していない。「個人が自由にツールを試すのではなく、企業が特定のツールを統一的に導入しているトップダウン型導入モデルになっている」からだという。
日本の回答者が、AIツールに求めるのは「正確性」(63%)と「使いやすさ」(58%)になる。この数値は米国、英国、ドイツを上回っており、直感的でシンプルな操作性が日本の市場では不可欠と示唆するものといえる。日本の組織は「AI利用に関する公式方針の共有」(45%)では、5カ国中トップだが、「リーダーシップによる明確なAIビジョンの伝達」は17%と、米国(35%)や英国(36%)の半分以下にとどまる。
AI導入における最大の課題は、日本は「AI導入の明確な責任者や推進者がいない」(28%)が他国より突出して高い。「AIツールが実際の業務フローに合っていない」(25%)との回答も多く、トップダウンで導入したツールが現場のニーズと乖離している可能性もあるという。
一方、シャドーAIの利用率は、日本の27%に対して、米国は54%と最も高い。米国は、従業員が所属部署や特定業務の効率化のために様々なAIソリューションを試す傾向が強いのに対し、日本は組織の方針に従う考えことを反映していると考えられるという。 (田中克己)






