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2025.10.31

【シリコンバレー視察2005】ペガサス・テック・ベンチャーズ、日本企業にオープンイノベーションの重要性を説く

 「日本企業にオープンイノベーションが欠かせないものになっている」。シリコンバレーに本社を構えるVC(ベンチャーキャピタル)、ペガサス・テック・ベンチャーズでビジネス開発部門シニアディレクターを務める小島竜介氏は。日本企業の低迷を脱する方法の1つがそこにあるという。大企業がスタートアップを育て、一緒に新しい事業を創り出すこと活路を見出せるということ。

 確かに日本企業の地位は低迷し続けている。IMDの世界競争ランキングによると、日本は2024年に35位に甘んじる。とくにビジネス効率性が悪く51位で、円安や株価も低迷する。時価総額ランキングでも、日本は1998年に上位25社の10社以上占めていたが、2010年代からゼロになる。

 小島氏はその理由の1つに、スタートアップの育成と成長にあると主張する。大企業が彼らの技術力を活かした新規事業を創り出せていないことだ。結果、日本の総収益は2.8兆ドルと、米国の5分の1程度に留まっている。同社パートナーの森本作也氏らも、日本企業の活性化が課題とする。大企業がスタートアップへ投資、提携し、オープンイノベーションを起こすのが1つの策になる。そのためには意思決定のスピードを速め、製品開発サイクルを短くし、生産性を高める。外部の考え方や力を取り込む。

 米大手IT企業らはすでにスタートアップと提携し、新規事業を立ち上げている。ペガサスによると、その数は既存事業の改善・改革の2、3倍にもなるという。例えば、アップルは2002年から新事業開発に力を入れ、AR/VRとデジタルヘルス、AI、半導体に投資する。外部の技術も取り込むことで、回復した。

 対して、日本企業は自前主義にいまだにこだわる。「そんなことは社内ですでにやっていること」、「当社にその技術はある」などとなり、他社の力を借りることを拒む。製品サイクルがどんどん短くになり、付加価値を創り出すことの重要性を理解できないでもいる。

 大企業が従来取り組んできたイノベーション手法の1つに、スタートアップへの投資がある。単に投資する段階から、社内CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を立ち上げ、VCのファンドに投資する。ノウハウやスキルがない中、手探りで始めたものの、外部の専門人材を採用する段階に進み、さらにファンドを運用するようにもなる。

 ペガサスは現在、42のファンドを運用し、運用資金は約3000億円になる。小島氏によると、150人のスタッフが大企業を支援し、約300件の連携を実現させたという。

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