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2024.03.13

日本のデジタル経営は緒に就いたばかり、JEITA調べ

 電子情報技術産業協会(JEITA)・ソリューションサービス事業委員会が3月6日、日米デジタル経営調査の結果を発表した。経営の視点からデジタル活用を考える「デジタル経営」の取り組みについて、非 IT 部門のマネージャーや経営幹部を対象にアンケートを実施し、日米国ともそれぞれ約300人から回答を得た。

 調査結果から日本企業のデジタル活用の特長をみると、1つは効率化という守りの投資が半数以上を占めること。しかも、間接業務や人事業務などテクノロジーの適用範囲が狭い。JEITAは「データを使った経営は緒に就いたばかり」と推測する。3つめは、既存従業員の再教育を中心にIT人材の育成を実施していること。外部からの採用や買収などを活用する米国企業とは異なる。そこで、注目したのが、ITベンダーやSI企業を活用するとの回答が、米国が高く、日本が低い傾向にあったこと。「内部の育成には時間もコストもかかる」とし、JEITAはITベンダーなどからの調達を説く。4つめは、組織や文化を変革させる意識が低いこと。ただし、日本でもデジタル戦略と経営戦略が一体化している企業では、外部起点の思考、多様性の受容、権限移譲など変革の傾向がみられる。

 IT投資に対して、日本は「守り」、米国は「攻め」との結果は、2020年調査と同じ傾向。デジタル経営に取り組むのは、日本が25%に対して、米国は50%超になる。投資するテクノロジーは、クラウドや機械言語などに集中する日本、可能性のあるいくつものテクノロジーを選択する米国となる。テクノロジーに対する理解に差があるのだろう。ソリューションサービス事業委員会の石橋潤一氏は「日本のDXは個別プロセスにとどまっており、次のステップの稼ぐにいたっていない」と指摘する。小堀賢司氏は「IT部門がどのようにDXを進めるのか悩んでいる」とみる。

 この調査の狙いは、DX市場を浸透させることにあるように思える。石橋氏は会見の冒頭に国内のソリューションサービス市場が2002年の4.8兆円から2022年に6.1兆円に拡大したことを示すとともに、その中のDX関連売り上げ比率が2019年の17.7%から2022年に32.2%に高まったと説明した。「なぜ、そんなに高いのか」と思った。理由はおそらく、会員企業がDX関連商品やサービスをそれぞれ勝手に決めていることにある。なので、従来型の延長サービスまでDXと呼び、新しいものにみせかけて売り込んでいるだろう。そう思ってしまう。(田中克己)

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