「デジタル化の成功のカギは人材になる」。技術革新の影響は今後ますます大きくになる。とりわけAI(人工知能)が労働力のあり方を変えるとし、脅威に感じる労働者は少なくない。PwCなどの調査でも、55%の人が「自動化や技術革新によって、職を失うのではないか」と懸念しているという。イノベーションも起きる。
ところが、PwCの「デジタル環境変化に関する意識調査」によると、危機感のある日本人は全体の20%にすぎない。「技術が自分の仕事を変える可能性がある」と思っているのも30%だ。中国の89%、インドの82%に比べるとかなり低い。だからか、日本人は新しいスキルの習得になかなか動かない。
その一方で、CEOは必要なスキルを獲得できなくなることを懸念する。PwCコンサルティングの佐々木良介氏は「AIやロボットに仕事を奪われるわけではない。管理する側になるのか、管理される側になるのかの問題」とし、社員のアップスキリングを提案する。経営者は人材を外部から採用することより重要視している。求めるスキルはデジタルより、リーダーシップや問題解決、創造力、適応力にある。デジタル力は外部から調達すればいいからだろう。(田中克己)