メニュー

NEWS&TOPICS

NEWS&TOPICS

2019.01.24

4500社が出展した情報家電見本市CES2019

 世界最大規模を誇る情報通信・家電技術見本市CES2019が2019年1月8日から11日までの4日間、米ラスベガスで開催された。275万平方フィートの展示スペースに、自動運転や5G(第5世代通信規格)の接続、AI(人工知能)、拡張・仮想現実、デジタルヘルス、スマートホーム、スマートシティー、スポーツ、ロボット工学、量子コンピューティング、ブロックチェーンなど最新の変革技術が紹介された。約18万人の来場者が各展示ブースを回る一方、空飛ぶ車など会議セッションに参加した。とくにデジタルヘルスの展示が25%増えたのは、高齢化による健康管理のニーズが高まっているからだろう。

 

 出展社数は18年とほぼ同じ約4500社だが、スタートアップなど新興企業が18年より約300社増の1200社超になった。CESを主催するCTA(コンシューマ技術協会)によると、国別の出展で最も多いのが米国の1617社、次いで中国の1187社、フランスの370社、韓国の255社、台湾の182社、カナダの112社、イギリスの72社、イスラエルの65社などと続く。日本は63社と18年より14社増えた。増加した理由の1つは、経済産業省が推進するスタートアップ企業の育成支援プログラムJ-Startupによるもの。結果、日本貿易振興機構(JETRO)のパビリオンは18年の6社から19年は22社に増えた。半面、大阪を拠点にする広告代理店の大広が主催するジャパン・テックへの出展は18年の12社から7社と減っている。

 そんなCESの会場を経済産業大臣の世耕弘成氏が5Gやスマートホーム、デジタルヘルス、次世代モビリティなどを視察したり、J-Startupブースを訪れて、激励をしたりした。「大名行列」とやゆする関係者もいたが、確かに約60社が出展するイタリア・パビリオンでは副首相が9日夕方のレセプションで挨拶し、イタリアの先端技術を紹介したとの対応差を感じる。来年は大臣による会場でのレセプションを期待する。(写真はフランステック)

 展示では、自動運転技術が目立った。電気自動車や“つながる車”は翌週のデトロイトで開催された北米国際自動車ショーに移行したように思えた。だからか、18年に展示した次世代モビリティe-Paletteの次の方向を示せなかったトヨタ自動車は今回の出展を見送ったのだろうか。だが、e-Paleteのような新しい配送車の出展は増えた。また、トヨタに代わり、初出展のトヨタ紡績が自動運転レベル4やレベル5を想定した車室空間モデルを紹介する。

 自動運転は実用化に向けた取り組みが披露された。たとえば、半導体メーカーのクアルコムが信号のない交差点における侵入車の優先順位を指示したり、車同士や車と人などがコミュニケーションすることで安全性を確実にしたりする実証実験を紹介する。自動運転の次に注目されるのが、空飛ぶ車だろう。米ベル・ヘリコプターやNFTなどが垂直離陸機(eVTOL)を展示した。ベルは2022年の実用化を目指す。

 アマゾンとグーグルによるAIスピーカーの競争は一段と激化する、グーグルは2018年の3倍のスペースを確保し、パートナー企業を支援する。一方、家電関係の大きな進化はみられなかった。8Kや大画面はあったが、冷蔵庫を中核に全体をつなぐ仕組みの実用化は今年後半以降になりそう。(アマゾンはロボットを出展)

 2020年以降のトレンドを示唆する基調講演は、IBMやAMD、LG電子、ベライゾン、AT&TコミュニケーションズらのCEOや社長が登壇した。LG電子の社長兼CTOであるI.Pパーク氏は7日、消費者の生活にAIがどのような影響を与えるかを予想する。8日にあったIBMのジニー・ロメッテイ会長兼社長兼CEOは、AIや量子コンピュータなどによるビジネスの影響や同社の取り組みを紹介する。新技術や次世代ビジネスの方向を示すようなIT企業の経営者や先端技術を駆使するビジネスを展開するユーザー企業の経営者が基調講演に登壇しなかったのは、技術の端境期だったからだろうか。(田中克己)

pagetop