MWCバルセロナに今回で4回目の出展になる楽天グループは「Intelligent Growth(インテリジェントな成長)」をテーマに、完全仮想化クラウドネイティブ・モバイルネットワークの構築、Open RANの採用、大規模ネットワークの自動化などの取り組みによって得られた知見を基に、急速に変化する通信業界において競争力を維持するためのビジネスケースなどを紹介する。
楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏や楽天モバイル代表取締役共同CEO兼CTOのシャラッド・スリオアストーア氏をはじめとするグループの経営陣、パートナー企業らによる通信やクラウド、AIに関連する技術、さらに楽天エコシステムを通じた成長戦略などに関する講演を行った。体験型展示ブースでは、同社が提供する通信・クラウド技術ソリューションを紹介するデモンストレーションなどを実施。三木谷氏はOpen RANへの移行環境を整備し、加速させることに取り組むとした。すでにいくつかのネットワークベンダーとの協業も構築できたという。ハードウエアを更新し続けるのではなく、ソフトウエアで機能を強化、改善を図る時代が近づいている。
同社によると、楽天グループは国内外で約19億のユーザーを有し、Eコマースやフィンテック、通信、デジタルコンテンツなど様々なサービスを提供し、独自の「楽天エコシステム(経済圏)」を形成している。その中で、楽天モバイルが日本国内において大規模なOpen RANモバイルネットワークを構築した知見を生かし、楽天シンフォニーが通信プラットフォーム事業をグローバルに展開する。次世代ネットワークの構築、運用で培ったテクノロジーは通信分野のみならず、小売やスポーツ、デジタルコンテンツなどの分野においても、コスト削減、運用効率の向上、データ駆動型のビジネス展開を可能にするという。
楽天シンフォニーはグーグルクラウドを活用するストレージソリューション「Rakuten Cloud-Native Storage」のグローバル展開を紹介する。MWCの会期中、同社はラテンアメリカの大手通信事業者Quantikグループの技術ソリューションを提供するIsbelがラテンアメリカ市場における付加価値再販業者になったことを公表した。同地域のモバイルネットワーク事業者に対して、楽天シンフォニーのOpen RAN、クラウド、ネットワーク運用支援システムのソリューションを提供するもの。(田中克己)