Box日本法人がこのほど生成AIサービスを導入済みと導入を検討している企業の利用者や管理者を対象に実施した「企業における生成AIの活用に関する意識調査」結果を発表した。調査は10月4日から7日に20代から60代の男女1000人に実施し、95%の導入関与者・運用担当者が生成AI活用に対する不安を感じていることが分かった。
生成AI導入企業の運用担当者らの95%が「生成AIに何らかの課題や不安を感じる」と回答。その中で最も多かったのは、「社員が使いこなせるか」(36.5%)、「機密情報や個人情報が見えてしまうのではないか」(36.5%)の2つで、AI活用によるリスクと社内浸透の両面で課題や不安を抱えていることが分かる。一方、利用者は、「生成AI活用に関して課題や不安を抱えている」との回答は74%と少し低い結果だった。とくに運用担当者が懸念する「機密情報や個人情報が見えてしまうのではないか」は19.8%と大きな差があった。最も多い課題は「欲しい情報や回答が得られない」(31.8%)になる。
導入関与者・運用担当者に、現在利用している生成AIをどのような理由で選択したか聞いた結果、「利用できる機能が多いから」(40.0%)、「現在使用しているサービスに簡単に追加できるから」(35.5%)が上位を占めた。生成AIの導入を決断する際に重視するのは、「セキュリティ面が担保されていること」(45.8%)とセキュリティへの懸念が最も多く、次いで「利用できる機能の多さ」(27.0%)、「現在使用しているシステムに簡単に追加できること」(23.3%)などと続く。
今後の生成AIの活用意向は、「活用していきたい」(56.3%)、「やや活用していきたい」(37.7%)と、合わせて運用担当者ら9割以上が活用継続の意向がある。さらに「今後の生成AIの活用に何が必要か」と聞いたところ、利用者の53.7%が「高い回答精度」と回答したのに対し、導入関与者・運用担当者のその割合は34.4%にとどまった。逆に、「ユーザーのITリテラシーの向上」(37.6%)、「生成AIで利用するファイルの整理」(36.0%)を挙げる運用担当者が多かった。 運用担当者はIT環境の整備や利用者のITリテラシー向上などを重要視している一方で、利用者はAIの回答精度に着目していることになる。
生成AIを利用する業務は、「全社で利用している(準備をしている)」(57.8%)が最も多かった。社内の反応は、運用担当者らは「とても好評だった」(24.0%)、「好評だった」(58.5%)と、ポジティブな反応が7割超にもなる。(田中克己)