製造業向け産業用AIに特化する韓国スタートアップのMakinaRocksが2025年にも日本法人を設立し、本格的に事業を開始する。同社で日本における事業開発を担当する永井宏志郎氏が明らかにした。パートナーとなる日本のSI企業らの協業を推進し、年内にも日本のユーザー1、2社を獲得し、先行事例にする考え。
同社は2017年12月にソウルとシリコンバレーの2カ所に事務所を設置し、機械学習技術とMLOps(Machine Learning Operations)プラットフォームを組み合わせて産業の現場に特化した統合型AIソリューションの開発と提供を始めた。これまでに340億ウオン(約34億円)の資金を調達し、サムスン電子やLG電子、現代自動車などの関連会社50社弱にソリューションなどを提供する。従業員は120人弱になる。
具体的なソリューションには、産業用AIを駆使したモーター設備の異常検知や産業用ロボットの異常検知、太陽光発電量の予測などがある。「異常検知は、どんなモーターにも、どんなロボットにも対応できるのが特徴」(永井氏)。これまでのような写真などの画像を診断するのではなく、モーターの回転数などのデータから異常を検知するので、モーターやロボットの大きさなどには左右されない。一方、太陽光発電量の予測は、過去の気象データと時系列データを分析し、発電所の位置別×時間当たり発電量を予測する。加えて、発電履歴のない発電所なら最小のデータを用いて、予測誤差の最小化に特化したアプローチを開発・適用し、全体の予測誤差を最小限に抑制する。こうして最適な売電時期を予測する。
日本市場には、2024年1月に国内の製造業向け展示会に初めて出展する。同時に、韓国企業に勤務したり、韓国スタートアップの日本市場進出を支援したりしていた永井氏を日本担当に据える。「韓国での実績はPoCではなく、本番運用になる」(永井氏)という。(田中克己)