ベトナムと日本のIT企業の協業を推進するベトナムIT Day2024が8月6日、都内で開催された。ベトナムソフトウェア・ IT サービス協会(VINASA)の主催、JETROと情報サービス産業協会の共催で、「ベトナムー日本における持続可能なデジタル経済発展を支える包括的なITパートナー」をテーマに、講演やパネルディスカッション、ビジネスマッチング、展示会を行った。
JETROイノベーション部次長の樽谷範哉氏は「日本のスタートアップがベトナムに研究開発拠点を設置している」と語り、オフショアからAIなど研究開発の拠点へと変化していることを示唆した。「受託開発ではなく、オープンイノベーションの事例が増えている」(同)。VINASAの担当者は「ベトナムは日本の第2のパートナーとし、日本企業にITサービスなどを提供したり、システムの最適化をしたり、DX技術を提供したりしている」と語る。ベトナム情報通信局の担当者は「ベトナムのICT産業は新たな段階に入った」とし、グローバルICTグループの仲間入りをするための支援を強化する考えを説明した。そのベトナムのICT産業はベトナムのGDP(23年)の16.5%を占める規模になり、ITエンジニアは約55万人に達する。約170の大学がICT人材を輩出し続けており、その10%は海外の大学を卒業する。ICT人材の約6割が40歳以下だという。
その代表格でもあるベトナム最大手FPTソフトウエアは2023年に10億ドルの売り上げに達し、その約4割を日本市場から得ているという。同社日本法人FPTジャパンホールディングスのド・ヴァン・カク社長が講演で語ったことで、日本市場の売り上げは2023年に約50%も伸びたという。日本法人のエンジニアも約3500人、ベトナム本社の日本向けエンジニアは約1万2000人に達する。
さらに日本市場に進出するベトナムIT企業23社で、在日ベトナムDX協会を24年7月に立ち上げて、23社の日本にいるエンジニアを24年の4500人から1万5000人へ、ベトナムにいる日本向けエンジニアを今の2万4000人から7万5000人へそれぞれ増やす。同協会のHPによると、ベトナムのICT企業は従来のプログラミングやテストなどの単純な作業だけではなく、研究・設計や先進技術の応用など、幅広い業務を遂行できるまで成長。こうした状況において、ベトナムと日本のデジタル技術分野での協力と発展を促進する戦略的な架け橋となり、企業のDXを加速し、持続可能な経済社会の発展に寄与するため、設立したと説明している。(田中克己)