日本IBMが7月26日、世界30カ国のCDO(最高データ責任者)3000人を対象に実施した調査「グローバル経営層スタディ:CDO スタディ」の日本語版を公開した。データ活用の推進を担うCDOの重要性と、日本企業の課題を指摘もする。調査対象に日本企業の180人もいるが、グローバルとの大きさ差はみられなかった。
回答したCDOの52%は「自分の最重要責務はデータ・セキュリティの確保」とする。ところが、「自社のデータが安全に保護されている」と回答するCDOは61%に留まる。一方、日本のCDOは前者が26%と低く、IBMコンサルティング事業本部の松瀬圭介氏は「データ活用に重点があり、守りに重点がない」と分析する。
そんなデータ価値創造型のCDOには、いくつかの特徴がある。1つは、データから価値創造に至る道筋を明確化すること。2つめは、データ投資によってビジネスの成長ペースを加速させること。3つめは、データをビジネスモデルのイノベーションの中核に位置付けること。4つめは、エコシステム・パートナーとの連携を最大化すること。
IBMコンサルティング事業本部に鈴木至氏によると、日本のCDOはデータ価値を大きな脅威から守るため、サイバーセキュリティーに重点を置く傾向が強いという。データのサイロを防ぐため、集中型データ・アーキテクチャの構築にも力を注いでいるという。AIの活用にも積極的だが、意思決定にAIを活用する日本のCDOはグローバルの半分とまだ少ない。そこで、同社は「データ管理・統制」と「データ活用推進」に対する取り組み強化を提案する。鈴木氏は「データリテラシーとデータ保護が不可欠なこと」とし、企業全体でデータ活用できる環境を整えることを薦める。加えて、ビジネス成長を加速させるためにイノベーションや変革を起こすテクノロジーの選択の重要性を指摘する。(田中克己)