日本IBMが7月7日、IBM Institute for Business Value (IBV) が経営層と生活者を対象に行った新しいグローバル調査の日本語版を公開した。生活者と企業経営層にとって、環境のサステナビリティへの関心の高まる一方、ESG(環境・社会・ガバナンス) 目標達成へ向けたデータの不十分さが大きな課題として表面化していることが分かったという。
調査結果によると、経営層はESGの推進を妨げる最大の障害として、「不十分なデータ」(41%)、「規制の障壁」(39%)、「一貫性のない基準の乱立」(37%)、「不十分なスキル」(36%)を挙げる。ESGデータへのアクセス、分析、理解力のない企業は、重要なステークホルダーである生活者に透明性を高め、期待に応えることに苦労している姿もみてくる。
一方、経営層の74%は、生活者らステークホルダーがESG目標やパフォーマンスを理解していると考えているが、生活者の約4割が「環境的にサステナブルな買い物」(41%)や「職業選択」(37%)を決める上での十分なデータがないと感じている。IBM コンサルティングによると、「多くの生活者がESGへの取り組みが進んでいる企業の商品の購入や就職を選択する中、企業は透明性を高めることを優先し、ESGデータの障壁を取り除く必要がある」と説いている。
また、経営層の76%が「ESGをビジネス戦略の中核に据えている」とし、ESGをコストセンターではなく、収益の機会と考えている。同じく76%が「報告要件だけでなく、ESGの成果の達成に重点を置いていることに同意または強く同意」と回答する。 一方、生活者の約3分の2が「環境のサステナビリティ」(68%)と「社会的責任」(65%)が「かなり重要である」または「非常に重要である」と回答する。半数超の生活者が、過去12カ月間、生活費の上昇により、環境や社会的責任に配慮した商品の購入が難しくなったと答えている。ただし、約6割が「購入した商品の半数以上が環境や社会的責任に配慮した商品」と回答もしている。
なお、同調査は、34カ国の2500人の経営層、2万人の生活者に聞いたもの。(田中克己)