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2023.06.13

「日本企業に野心を」、アクセンチュアが成長企業の分析調査から指摘

 アクセンチュアが6月8日、世界の成長企業の特徴を分析し、日本企業が取り組むべき打ち手を解説した。TER(トータル・エンタープライズ・リインベンション)と呼ぶ、新たなフロンティアを探求し続けることで企業価値を持続的に高める新たな発想の戦略に基づく分析で、業界・社会変革のためのデジタルコアを中核に据え、飛躍的成長と経営最適化を実現することを説いている。

 広瀬隆治氏(ビジネスコンサルティング本部ストラテジーグループ日本統括兼通信・メディア プラクティス日本統括マネジング・ディレクター)は、業界や社会変革に挑む企業には6つの価値観があるという。1つは、リインベンションを戦略に設定していること。成長・効率化のための単発の取り組みに留まらず、企業・産業・社会の未来そのものを変革することが成果をもたらすという発想。2つめは、競争優位の源泉としてデジタルコアを確立・強化していること。クラウドやデータ、AIをテコに、急成長を支える伸縮自在な事業コアとしてのテクノロジーを活用することだ。

 3つめは、社会の潜在価値を具現化し、業界内ベンチマークを超えた成果を探求していること。競合他社との差分をどう埋めるかではなく、野心的な高さと速さを兼ね備えた目標を設定する。4つめは、人材戦略と人材の持つ能力がリインベンションを実現していること。社会やビジネスの変化に合わせて人材を変革するのではなく、チェンジマネジメントをコア・コンピテンシーと見なしていること。5つめは、リインベンションの取り組み、スコープを限定しないこと。組織サイロはもちろん、企業を超え産業を横断するようなバリューチェーンを対象とし、パートナーを巻き込んだ再創造を進める。最後が、絶えずリインベンションが進められる態勢を用意すること。時限的・プロジェクト型の取り組みだけでなく、常に組織変革をし続けられる能力、体制、文化を確立することだ。

トップダウンとデジタル化、働き方が成長のカギ

 村上隆文氏(ビジネスコンサルティング本部テクノロジーストラテジー&アドバイザリーグループ日本統括マネジング・ディレクター)はこの5年間、時価総額トップ25社に入り続けた企業から成長要因を紹介する。最も大きなことは、世の中を変える技術をうまく取り込み、成長し続けていくことだ。例えば、ウオールマートは14年にCEOがトップダウンでデータ駆動型オペレーションにしていくことを宣言。アマゾンがECサービスを拡大し、小売店が危機感を強めていた時期でもある。店舗とデジタル化による新しい顧客体験を実現させていった。サービスビジネスへの転換を図るキャタピラも、トップダウンでデジタルビジョンを推進する。シンガポールのDBSは中国テック企業の金融サービス参入に備え、いち早く勘定系をクラウド化し、API連携を進め、デジタルサービスへの変革を遂げた。

 この3社から分かることは、「CEOによる共感を生む野心的なビジョン」と「業界・社会変革を駆動するデジタルコア」、「組織・企業を超えた共創型の働き方」の3つだという。野心的なビジョンとは、業界の枠内に閉じていては持続的な成長が困難になることが背景にある。そのため、従来の業界定義や垣根を越え、そのあり方を再定義し、潜在価値を刈り取る。先駆的に業界・社会変革に挑み、共感を得ながら飛躍的成長を希求することが1つの選択肢だという。2つめのデジタルコアとは、社会や業界を変革する技術を自由自在に扱うこと。事業ドメインの取捨選択や事業機能の変革に迅速・機動的に対応することでもある。そして、3つめのイノベーションを巻き起こすリーダーシップとカルチャー、企業を超えた共創を前提とした働き方にすること。

 そこから日本企業の特徴をみると、1つは取り組みに懸ける覚悟と野心の強さに欠けること。2つめは、CEO自らデジタルを推進する企業が少ないこと。つまり、CxO以外が推進するボトムアップ型になっているということ。新しい技術の取り込みからも分かることがある。次世代コンピューティングなど性能の見えるものに関心を示すが、Web3など社会を変えるテクノロジーをテコに「世を席捲する」という発想が乏しいという。

 デジタル化や変革を遂げるうえで、協業パートナーの選びでも、世界と日本の違いがある。世界はビジネスパートナーと組むのに対して、日本企業はERPアプリプロバイダやクラウドベンダーを選択する。村上氏は「ITやテクノロジーを買うという意識が高いからだろう。なので、高い成果を出せない」と指摘する。広瀬氏は「日本にはポンテシャルがある。世界最大級の経済規模と高密度・多様な産業集積により、業際横断型イノベーションを起こせる」と訴える。(田中克己)

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