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2022.09.28

サステナビリティな商品の購入経験、日本人は5割超、PwC調査

 PwC  Japanグループがこのほど、サステナビリティに関する消費者の意識調査を発表した。それによると、過去1年以内にサステナビリティの商品を購入した人は、日本は58%なのに対し、中国は91%、英国は84%、米国は79%などと日本の低さが際立つ結果になった。各国の小売業などはサステナビリティを分かりやすい表示にしているが、日本では「身近に売っていない」や「どれがそうなのか分からない」などとの理由から消費者はサステナビリティの商品を購入しない傾向にあるという。

サステナビリティに対する配慮にもある。「以前より環境への配慮を意識するようになった」と回答した消費者の割合は、インドネシア86%、ベトナム74%、中国69%、エジプト68%、アラブ首長国連邦67%、英国66%、米国57%などと、欧米だけではなく中国や新興国も高い数値だが、日本はわずか21%だ。世代別では、Z世代やミレニアム世代が高く、とくに人権問題への反応が高い。

 日本の消費者がサステナビリティな商品の購入意欲が低いのは「価格が高いこと」と、「選択肢が少ないこと」にある。小売業など提供者側にも「サステナビリティは売り上げにつながるのか」との疑問もある。だが、世界では信頼などのブランドを作り上げて、高くてもサステナビリティな商品を購入する傾向がみられるという。「品質や価格、それにサステナビリティのブランドが上回る」(屋敷信彦氏)という。

 そのためにもサステナビリティの認知を高めることが大切になる。たとえば、SDGsの認知は19年の10%から22年に54%と高まり、行動変容へつなげっていく。「消費者の今の価値観の中で、手にとってもらう」。購入した商品は「美味しいから」に加えて、たとえば「人権に配慮している」などに貢献することを意識させる。

 世界には事例がある。オランダのチョコレートメーカーはアフリカのカカオ工場における児童労働ゼロなどを目標に打ち出し、シェアナンバー1になったそうだ。「チョコ自体も可愛いし、美味しいが、少し高めでも爆発的に売れたのは人に優しいからだ」(磯貝友紀氏)という。米スニーカーメーカーは「このサイズしかない。こんなものは提供しない」などと店舗で、カーボンフットプリントの取り組みを説明し、ブランドを通じて、新しい価値の共感を得る策を展開する。

 日本では、エコバックの普及率が高い。レジ袋の有料化が消費者の行動を変えた。サステナビリティな商品購入も、そんな価値観の変化から広がり始める。カギは情報発信にもある。磯貝氏によると、市民社会の成熟度の高い国は、NGO(非政府組織)の発信力が強く、政府や大企業よりも信頼させているという。中立で、バイアスもないNGOは、大企業の環境破壊を告発もする。(田中克己)

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