富士通が6月28日に発表した日本や米国など世界9カ国で実施したサスティナビリティ調査によると、過去2年間に経営におけるサスティビリティの優先度が高まっているとの回答が6割に達していることが分かった。経営者や意思決定者に尋ねたもので、理由の54%は「若い世代に意識が高まっている」ことを挙げる。次いで「政府の規制やガイドライン、消費者団体からの要請に対応するため」(49%)、「製品やサービスの価値やブランド価値を高める」(43%)などとなっている。
同社によると、多くの企業がサスティナビリティ・トランスフォーメーション(SX)に取り組んでいる。60%が生産プロセスの、45%が製品とサービスの、変革に主体的に取り組み、79%が非財務のKPIを用いて、成果を評価しているという。その成熟度は企業によって異なるが、54%がサスティナビリティ戦略を作成・実行していない。着手したのはわずか21%で、大きな成果を上げた企業は5%にすぎない。
その5%から成功要因を分析すると、パーパス・ドリブンと人間中心、データ・ドリブン、コネクテッドの4つの要素が見えてきたという。さらに、SXの成功と、デジタルト・ランスフォーメーション(DX)の成熟度が密接に関係していることも分かったという。SXの成熟度の高い企業は、CEOの明確なリーダーシップの下で、全社的なDX戦略を実行している。組織の俊敏性を備えてもいる。イノベーションを実現する準備が整っていることもある。
同社技術戦略本部コミュニケーション統括部シニアディレクターの西川博氏は「経営層の関与が不可欠」と、デジタルを活用するSX戦略のカギを説く。だが、会見では「支援する」、「貢献する」という言葉しか聞こえない。富士通の経営者らが持続的な成長を理解し、戦略を策定し、実行力できるかが、今の富士通に問われているように思える。この重要な会見に、富士通の経営陣が出席しなかったことからも分かるだろう。(田中克己)