PwCが1月17日、第25回「世界CEO意識調査」の結果を発表した。それによると、CEOの77%が22年の世界経済回復を予測する。減速を予測するCEOはわずか15%で、2020年の景気低迷を予測したCEOは前向きになってきているという。
前向きな見方をする国のトップは、インドの94%だ。日本のCEOは前年から16ポイント増の83%、イギリスは5ポイント増の82%、イタリアは18ポイント増の89%、フランスは25ポイント増の85%と各国とも増加する。一方、減少したのは米国で、18ポイント減の70%だった。このほかブラジル(7ポイント減の77%)、中国(9ポイント減の62%)、ドイツ(4ポイント減の76%)などもだ。PwCはインフレやサプライチェーンの制約がより重大な課題となったことが影響しているという。
顧客の信頼も大きく影響する。それを重要視するCEOの7割超が今後12カ月間の自社の収益成長見通しについて、「非常に」または「極めて」自信があると回答している。顧客の信頼はネットゼロへのコミットメントとも関連する。顧客の信頼において、上位にランクインしている企業は、ネットゼロへのコミットメントを表明し、非財務的成果とCEOの報酬を連動させているという。
CEOの最大の懸念材料はサイバーリスクと健康リスクになる。人材の獲得と維持も大きな関心事で、社会的不平等を懸念するCEOの69%、健康リスクを懸念するCEOの62%が、人材の獲得と維持への影響を懸念の背景に挙げている。
脅威に対するCEOの見方は地域によって差がある。アジア太平洋地域のCEOの半数超(58%)が今後1年間、健康リスクについて、「非常に」または「極めて」懸念すると回答するが、西欧は37%、北米は44%に留まる。逆にアジア太平洋地域のCEOでサイバーリスクに強い懸念を示したのは44%だったのに対して、米国は61%、西欧は50%とアジアを上回る。
世界のCEOは、2022年の自社の売上成長に関して、自国以外で米国に最大の可能性を期待する。今後12カ月間の自社の成長見通しの上位に米国を挙げたCEOは41%と2021年より6ポイントも増える。これに中国(27%)、ドイツ(18%)、イギリス(17%)を重要国にあげる、注目したいのは、中国のCEOは売上成長上で最も重要な国の上位に米国(29%)、オーストラリア(24%)、ドイツ(23%)、日本(23%)を挙げたこと。(田中克己)