ハードウエア認証セキュリティキーを手掛ける米Yubico(ユビコ)が9月30日に発表した世界9カ国1万8000人を対象に実施した年次調査「グローバル認証状況調査 2025」結果によると、日本のサイバーセキュリティ対策がグローバル平均から大きく遅れていることが判明した。中でも、多要素認証(MFA)導入率はグローバル平均の48%に対して、日本は20%と半分以下にとどまる。
Iを脅威と認識する声が日本でも急速に高まっている。「AIが個人・企業アカウントのセキュリティに脅威を与える」との回答は、2024年の31% から2025年は74%に、「AIによってフィッシング攻撃が高度化している」と感じる人が 2024年の46% から2025年は71%に、「AIの影響でフィッシング成功率が上がった」と認識する人が2024年の37%から2025年は42%に、それぞれ増加した。
同社によると、パスワードやSMS認証と比較し、物理的なハードウエアセキュリティキーは、AIが関与する高度なソーシャルエンジニアリングやフィッシングにも耐性を持つ、唯一の「フィッシング耐性」を備えた認証手段だという。だが、今回の調査ではいくつかの課題が確認された。「パスキーを聞いたことがない」が26%もあったこと。加えて、ハードウエアキーの使用率が24%、「最も安全な認証方法」との認識が34%と低かったこと。
個人アカウントでのMFA利用率は24年の18%から25年に37%に改善したが、グローバル平均の63%との差がまだある。実は、日本企業の60%がサイバーセキュリティ研修を実施していない。同社は「企業文化としてのセキュリティ意識の未成熟さを示す」と指摘する。対照的に、フランスの個人のMFA利用率は24年の29%から25年に71%に向上した。(田中克己)