「楽観的で、あまり心配はしていない」。NECの森田隆之社長兼CEOは6月10日のグループ会見で、「日本企業のDXの成熟度が進まないことと、拡大するデジタル赤字の責任がNECにもある」との筆者の質問に対して、こう答えた。森田氏は「各国とも課題を抱えている。日本は高齢化社会など課題先進国だ」とし、「その解決に価値が出てくるチャンスがある」という。課題先進国としての課題を世界に先駆けて解決し、それをグローバルに展開するということなのだろう。
森田氏は先日、英国AIスタートアップのディープマインド幹部に会ったおり、日本は生活をしたい国の1つとの発言を聞いたことを例に、日本の文化や言葉に根差した技術があり、これからも生まれてくるはずだという。ディープマインド幹部のような人達が日本で起業したり、投資したりするとの期待もあるのだろう。「日本の技術にこだわる。デジタル赤字は(他の黒字による)収支バランスがとれている」とし、目下のところ大きな問題はないという。誰かがグローバルで通用するサービスやソフトを開発してくれるということなのか。海外海底ケーブル、顔認証技術などで戦えるということなのか。
もちろん、「国内にとんがったものをどのように作るか」を森田氏は気にする。「オーガニックだけではできないので、どのようにするかだ」。2年前に設置したCOOとCFO、CHRなどで構成するトップマネジメントチームが日々のことから先のことまでの課題を共有し、進める仕組みも作った。さらに価値創造モデルのブルーステラ―をNECの組織全体に広げていく。そして、次の5年間で営業利益率15%目指したいという。(田中克己)