「1人当たり営業利益が業界トップクラスになった模様」。大塚商会が2月3日に発表した2024年度(12月期)の決算によると、社員1人当たりの営業利益は前期比約15%増の768万円となった。長年トップを堅持する野村総合研究所(NRI)の24年度の営業利益見込みは1340億円で、社員が前期同様に約700人増えたとすれば、1人あたり営業利益は大塚商会とほぼ同じになる。
同社の2024年度は、売上高が前期比13.3%増の1兆1076億円となり、初めて1兆円を超した。営業利益も同18.1%増の743億円となり、2ケタ伸長を遂げた。「いい形で終った」と、大塚氏は2年連続で売り上げを1000億円超伸ばせたことをうれしそうだ。とくに第4四半期(10月~12月)の売り上げが前年同期比約20%増の2854億円、営業利益が同約42%増の221億円と、大きく伸ばす。
大塚裕司社長は「生産性の高さが当社の特長」と語り、単体での1人当たり営業利益が836万円になるという。「生産性を上げて、次の成長に備えている」とさらなる成長策を打つ。1つは、AIを活用した営業活動の効率化だ。「人が気づかないことを教える」ので、受注率が高まり、追加受注が増える。パソコンだけ、複写機だけから複数の商品提案へと広げていくことにも成功する。1企業当たりの売り上げも前期比13.6%増の333万円となる。
Windows10から11への更新需要も追い風になる。台数ベースで、通期が約22%増、第4四半期には約52%増にもなった。「特需が動き始めた。これからが本番」と、25年度に大きく貢献するという。ちなみに、25年度の計画は、売り上げが9.5%増の1兆2130億円、営業利益が10.7%増の823億円とする。平均給与も上げており、1000万円台に乗る日が近いように思える。ただし、NRIは2年前に1200万円を超えている。(田中克己)