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2023.01.23

世界最大級の自動車ショーと化したデジタル技術見本市CES2023

 デジタル技術見本市CES2023が1月5日から8日、米ラスベガスで開催された。主催者CTAによると、約1000社のスタートアップを含む3200社超の企業がモビリティやデジタルへルス、サステナビリティ、Web3、メタバースなどの新製品や社会課題の解決につながるソリューションを出展し、約11万5000人が来場した。ITビジネス研究会は視察ツアーを企画し、事務局を含めた13人が参加した。

 CESは今回のテーマに、「万人のための人間の安全保障」を掲げる。国際連合の「人間の安全保障基金と世界芸術科学アカデミー」と提携し、食料の安全保障や医療へのアクセス、個人の所得、環境保護、個人の安全、コミュニティの安全、政治的自由を育むためのグローバルキャンペーン「Human Security for All (HS4A)」を実施した。CES 2023で発表された製品には、世界的な社会課題への取り組みとして、清潔な水へのアクセス、食料の安全保障、スマートシティのインフラ、持続可能なエネルギーソリューション、個人の安全保障などがあったほか、障害者コミュニティの人々を支援する革新的かつ最新のアクセシビリティ技術も紹介される。

 CTA社長兼CEOのGary Shapiro氏は、「CES 2023は、基調講演、記者会見、展示会場での製品発表などにおいて、あらゆる指標で良い結果を残し、対面式イベントの復権を全世界に示した。CESで発表されたイノベーションは、私たちの生活を向上させ、次世代に向けより良い未来を築くために、有意義な手段として経済成長と変化をもたらすだろう」と語る。

 CES2023の展示面積は約220万平方フィートで、CES 2022の70%増にもなる。出展社数も、1000社以上の初出展企業を含む3200社になり、来場者も倍増以上の11万5000人以上になった。米国以外からの参加者は4万人を超え、140カ国以上にもなる。中国が大きく減り、韓国が大きく伸びた。日本からはパナソニックやソニー、シャープ、キヤノン、ニコンなどの常連が出展する一方、トヨタ自動車などが出展を見送る。

 主催のCTAによると、人々の生活体験向上に向けて、国や業界を超えた連携やイノベーションが重要でなってきているという。その観点からまず自動車とモビリティをみてみよう。 約300社の自動車技術関連企業が出展したCES 2023は、世界最大級の自動車ショーという規模に成長する。BMWやJohn Deere、Stellantisによる基調講演や、グローバル企業による製品発表では、自動運転技術、電気自動車、陸・空・海用のパーソナルモビリティに焦点が当てられた。自動車技術関連の主な出展企業はメルセデス・ベンツやCandela Marine Technology、GM、Italdesign Giugiaro、Magna、モービルアイ、Waymo、RYSE、Volvo Pentaなどになる。

 デジタルヘルスへの関心も高まっている。CES 2023では、デジタルヘルス関連企業が数多く参加し、イノベーションを発表する。その多さは、市場の急速な成長を物語る。デジタル治療やメンタル・ウエルネス、フェムテック、遠隔医療などの革新的な技術も紹介された。デジタルヘルスの主な出展企業には、Abbottやロッテ・ヘルスケア、MedWand Solutions、オムロンヘルスケアなどになる。

 サステナビリティの分野では、John Deereやサムスン、LG、シーメンスなどが省エネと発電量の最大化、持続可能な農業システム、スマートシティへの電力供給、清潔な水へのアクセスなどの実現に関するイノベーションを紹介した。主な出展企業は、3M、Bridger Aerospace、Caterpillar and NexGen Power Systems、パナソニック、ソニーなどになる。

 新しい市場として注目を集めるWeb3とメタバースは、CES 2023で初めて専用エリアを設けられ、没入型のインタラクティブなどに焦点が当てられる。CoinDeskが制作したWeb3 Studioを中心に、Web3、メタバース、ブロックチェーンの技術が紹介された。主な出展企業は、Magic Leap、マイクロソフト、OVR Technology、SKなどだ。

 スタートアップの勢いも感じる。会場のエウレカパーク(Eureka Park)には、日本、韓国、フランス、イタリア、台湾、トルコ、香港、オランダ、米国、ウクライナなどから約1000社が出展した。二酸化炭素排出量を削減する再生可能な紙のソリューション、食品廃棄物の削減に利用されるAI技術、電気エネルギーと熱エネルギーの両方を取り込むソーラー技術、個人の安全を守るアプリなどのテクノロジーも紹介される。とくに韓国の勢いがすごい。

 CES 2024は、24年1月9日から12日まで、同じく米ラスベガスで開催される予定。ITビジネス研究会は2023年に引き続き、視察ツアーを企画する予定。(田中克己)

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