PwCグループが3月中旬に「第24回世界CEO意識調査」を発表した。世界100カ国の約5000人超のCEOに聞いたところ、21年の経済回復を予測するCEOが76%になるなど、自社の売り上げ成長への自信を深める経営者が増えているという。
世界経済の成長に自信を示すCEOの割合は、19年の42%から20年に22%に大きく後退したが、21年は北米と西欧のCEOが回復を予測する。そんなCEOは現在、2つの根本的な課題に直面する。1つは、事業への期待をかつてないほど膨らませている広範にわたるステークホルダーの信頼をどのように構築していくのか。もう1つは、対外環境が急速に変化する中で、事業をどのように順応させて持続的な結果を出していくのかだ。同社は、これらを正しく理解する組織が今後、起こりうるダメージに耐えうる強靭で回復力のある生産的な企業として、いち早くパンデミックから立ち直り、将来の負の衝撃に耐えることができるとする。
気候変動への懸念を表明するCEOも、20年の24%から21年に30%に増加した。ただし、気候変動は、CEOの自社の成長見通しに対する脅威では9位にとどまる。CEOの27%は、気候変動を「全く懸念していない」もしくは「あまり懸念していない」と回答する。同社によると、「パンデミック」や「過剰な規制」、「サイバー攻撃の脅威」といった他の問題に比べて、成長に対する喫緊の脅威とみなされていないためとという。
一方、CEOの39%は「自社が環境に与える影響を測定する」ことに注力する必要があると考えている。その一環から、CEOの43%が環境への影響に関するより多くの情報を開示すべきだともする。たとえば、情報開示がネットゼロ経済を実現するために必要な変化を促すうえで重要なカギを握るからだという。だが、CEOの60%は気候変動をリスクと考えていない。とくにインドや中国のように自然災害から大きな影響を受けやすい国のCEOが、気候変動リスクに対する準備が最もできていないという。
自社の成長見通しに対する懸念材料に、サイバー攻撃が2番目に浮上する。20年の33%から21年は47%に増加した。「フェイクニュースなどの誤った情報」の拡散も、20年の16%から21年に28%に増えた。不透明な税制を懸念する脅威も20年の19%から21年に31%に広がる。債務増加から、法人税率引き上げを懸念するCEOが増えているからだという。
DX(デジタル変革)への支出は、CEOの49%が10%以上の増額を予定する。投資拡大を計画するCEOの中で、サイバーセキュリティやプライバシー保護への支出を10%以上増やす予定との回答は半数未満だったという。従業員の競争力を高めるために自動化とテクノロジーの活用を計画するCEOは36%と、16年の2倍超になった。(田中克己)
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