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2025.08.15

AI導入は進むものの、活用度は中程度、Okta調べ)

 アイデンティティ管理サービスを提供するOkta日本法人がこのほど、世界の経営幹部を対象に実施した職場でのAI利用に関する年次調査「AI at Work 2025」の結果を発表した。調査は、Oktaが調査会社AlphaSightsに委託し、2025年6月にオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、インド、日本、オランダ、英国、米国の9カ国の経営幹部260人に尋ねたもの。

 調査結果によると、経営幹部の約3分の2がAIをビジネス戦略上、「非常に重要」または「絶対に不可欠」と回答し、組織効率の最適化やセキュリティ改善を主な目的としている。ただし、AIの広範な導入は進んでいるものの、半数以上はまだ中程度の導入に留まっている。

 AI導入成功のカギは「高品質なデータの保証」を最も重要視する一方、最大の懸念は「データプライバシー」と「セキュリティリスク」にある。消費者の懸念と一致もする。AIを悪用した攻撃への対策として、「AIはAIに対する最善の防御策」との認識が前年の18%から41%へ急増した。これに伴い、AI導入におけるID・アクセス管理(IAM)の重要性も増加。データセキュリティとプライバシー保護がその主な理由だ。

 AIエージェントやAPIなどの非人間アイデンティティ(NHI)の利用も広がっているが、ガバナンスが大きな課題。特にNHIは広範に利用されているにもかかわらず、明確な管理戦略を持つ企業はわずか10%だった。

 一方、日本の経営幹部は、調査対象の9カ国の中で、「セキュリティ」を最も高い戦略的優先事項と位置づけている。AIの将来性に対して、「懸念よりも期待」と回答した割合が70%と、グローバル平均(53%)を大きく上回り、非常に楽観的。導入アプローチには特徴があり、顧客向けAIの組み込みには慎重なものの、一度導入を決めると「広範囲」に深く統合する傾向が他国より強い。

 最も注目すべきはNHIの状況。企業の70%がNHIを「広範囲に利用している」と回答する。調査対象国の中で最も高い割合だ。しかし、別の国内調査では、「NHIの管理戦略が明確にある」と答えた企業はわずか9%に過ぎず、利用実態と管理体制の間に深刻なギャップがあることが示唆されている。(田中克己)

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