「日本でも、スタートアップのエコシステムが重要になってきた。基本は人脈作り」。スタートアップ支援ビジネスを展開する米プラグ・アンド・プレイ(P&P)日本法人CEOのフィリップ・ビンセント氏は10月29日の同社主催ジャパン・サミットでこう語り、オープン・イノベーションの促進を説いていた。P&Pはそのプラットフォームを提供し、550社と協力し、VC(ベンチャーキャピタル)として約2000社に投資もする。日本での投資は21社になる。P&P創業者兼CEOのサイード・アミディ氏は83社の日本企業が参加し、100社以上がDXやイノベーションを推進しているという。「重要なのはカルチャーだ」。
「シリコンバレーの最新の事業開発トレンド」のパネルには、デロイト・ベンチャーズ・サポートCOOの木村将之氏、楽天USAの富永生氏、日本郵便シリコンバレーの安藤裕一氏、そしてモデレータをColoridohの竹内ひとみCEOが務めた。最近の動きについて、「すべてAI」(安藤氏)、「アパートの需要拡大」(富永氏)、「生成AIのアプリに資金が集める。ハードとの融合で、ブルーカラーを置き換える」(木村氏)などのキーワードを挙げる。
ただし、富永氏は「AIで儲かっている会社はない」と断言する。注目すべきはロングテールのところで、そこでもマネタイズができるかだという。駐在員に意義も説く。1人あたり年間に約5000万円の費用がかかるので、本社がそれに見合う人材を配置し、効果を出せることを理解できるかだ。木村氏は「情報収集に3年経つと結果を求められる」とし、儲かるものを特定し、組織で戦うことを説く。富永氏は「できるまでやる、その覚悟がいる」とし、駐在期間を3年間と期限を決めることを疑問視する。
次のパネルディスカッションは「海外アクセレータから見た日本のエコシステムの可能性」で、眞鍋亮子氏(AIchemistマネージングディレクター)と白戸勇輝氏(Techstarsマネージングディレクター)、そしてモデレータをビンセント氏が務める。眞鍋氏は「B2Bに特化し、米国に日本のベースをつくりたいスタートアップがあるはずと思って進出した」という。年間に9社から12社を支援し、海外から日本へのスタートアップも対象にする。白戸氏は「これまで12社採択し、うち日本企業は6社だ」と説明する。日本には88人のメンターがいる。(田中克己)