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2023.01.23

ガートナー調査、ソフト開発の内製化を阻害するIT人材不足

 IT調査のガートナージャパンが1月18日、日本企業におけるソフト開発の内製化に関する調査結果を発表した。内製化したい主な要因は、開発コストの削減と迅速化にある。だが、IT部門の人材不足が内製化を阻害していることが分かったという。

 調査は22年4月、日本国内のユーザー企業でソフト開発に従事する個人を対象に、自社の内製化に対する考え方などを聞いたもの。企業の方針が「内製化の方向」との回答は54.4%、「外製化の方向」との回答は35.4%となり、内製化の割合が高かった。回答者自身の見解も、内製化推進が56.4%、外製化が40.7%と、内製化推進派が多く占める。

 内製化の理由は、開発コストの削減にある。「SI企業に支払うコストが高額なため」(55.2%)などによる。2つめの理由は、「開発、実装、保守対応を迅速化すること」。SI企業とのやりとりの時間が長いなどが背景にある。このほか、自社ビジネス・ノウハウの活用やスキル、ナレッジの改善・蓄積といった開発のあり方の改善との回答も4割以上ある。

 同社は「ソフト開発の最大の懸念は『開発コストが高い』ことと、『開発に時間がかかる』ことが改めて浮き彫りになった」とし、内製化を進めるうえで、適正なコストがどの程度か議論することを説く。片山治利シニアディレクターは「開発コストの削減を理由に内製化を検討しようとする場合、現状のプロジェクト管理やITベンダーの管理を改善することで、コスト削減を図れる余地がないかについても検証すべき」と助言する。また、SI企業に委託する場合、意思決定を含む開発のプロセスに効率化の余地がないかも検証すべきともする。

 調査では、内製化の最大の阻害要因はIT部門の人手不足だとする回答が64.7%もあった。ガートナーは、社内人材の発掘や外部人材の採用などを実施しなければ、「内製化は始まらない」とも苦言を呈する。片山氏は「内製化を企業の重要施策として位置付けるよう経営者に働き掛けることも重要」と説く。そのためにも、IT部門の魅力を高め、採用への応募を増やし、採用後の成長・定着を促進する施策に取り組むことを提案する。(田中克己)

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