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IT最新事情

2022.09.01

大塚商会が介護事業者向けプラットフォームに参入する理由

 大塚商会がこのほど、介護事業者向けプラットフォームの提供を開始した。見守りIoTデバイスやナースコール、記録システムなどを束ねるもので、業種SIプロモーション部業種WEB戦略課医療・介護担当の林和美氏は「介護事業者は製品やサービスがたくさんあり、どれが自社に合っているのか困惑している、そこでマルチベンダーの当社が最適なものを一緒に考えて提供する」と、その基盤となるプラットフォームを用意する理由を説明する。センサーごとに管理、運用する不便さを解消する狙いもある。

 実は、見守りIoTデバイスなどを提供するITベンダーはプラットフォームを用意している。だが、多くは自社製品を対象とするもので、他社製品との接続を考慮していない。競合他社もそこに入りたくないだろう。結果、介護事業者が「これと、あれを採用したい」と思っても、つながらないことが分かると、導入を諦める。そこに、大塚商会がITベンダーらの製品やサービスを接続可能にするプラットフォームを提供する意味がある。本部SI統括部業種SPグループ・グループ長の矢沢幸展氏によると、まだ接続可能なデバイスは少ないという。パナソニックやオムロンなど同社が扱っているデバイスだけなので、これから1社1社に参加を勧誘していくという。

 同社がIoTデバイスなどの機器販売からプラットフォーム・ビジネスへとビジネスモデルを進めれば、ビジネス規模の拡大も図れる。同プラットフォームの利用料は月額1000円だが、期待する収益は各種センサーの導入やWiFi環境の工事、カスタマイズなどになる。「プラットフォームを抑えることで、介護事業者からの相談が増える」(矢沢氏)。たとえば、見守りIoTデバイスを導入した事業者が次に排泄センサーを入れたいとなったら、大塚にとなるということだろう。

 大塚商会は各種デバイスからのデータを収集、蓄積したデータを活用したサービスの提供へとビジネスモデルの発展も考えている。AIを活用し、人員の最適な配置や稼働率を向上させたり、患者の状況が確認できるといった家族向けアプリも検討したりもする。介護事業者向けプラットフォームは、そんな大塚商会の近未来ビジネスの方向を示すものでもある。(田中克己)

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