NTTデータはハイパーコネクテッドインテリジェントネットワークによって実現する新たな可能性や、先進的なネットワーク、プライベート5G、IoT、OTとエッジコンピューティングなどを組み合わせたユースケースを紹介する。稼働中のフォトニクスソリューションや光無線ネットワーク(iOWN)、OREX-SAIによるオープンRANの体験もできる。
注目したのは、通信ネットワークの垂直統合から分散統合への同社のシフト施策だ。ネットワーク機器ベンダーの専用機による構成からハードウエアとソフトウエアを分離し、複数のネットワークOSをオープンな汎用ハードウエア上で動作させる高速・大容量・低消費電力の通信ソリューションにすること。そのため、台湾ネットワークベンダーのUfi Spaceらと組み合わせ検証環境を構築し、同ソリューションの共同開発とグローバル展開に向けた協力体制を築く。
同社の土井泰二・テレコムユーティリティ事業本部ビジネスプロデュース事業部オファリングビジネス統括部5Gビジネスプロモーターによると、ルーターやスイッチなどを特定ベンダーから調達すると、同じベンダーからマネジメントシステムなど周辺システムも購入することになるという。そこで、NTTが提唱するIOWN構想にもあるハードウエア部分とソフトウエア部分を分離する考えを取り入れる。つまり、ネットワークOS、ルーターやスイッチ、電気と光モジュールを分けて、ルーターなどは台湾メーカーを、モジュールは富士通やNECなどを、選択し組み合わせるインテグレーションをする。NTTデータがインテグレータになる。通信事業者にこうしたホワイトボックス装置を提供し、コスト削減などによる新しい収益機会の創出に寄与する一方で、NTTが提唱するIOWN構想の実現に貢献できるという。
これら体験型デモンストレーションのほか、ブースでの基調講演、パネル討論を行う。パネル討論には、「AIが通信業界のイノベーションと成長を促進」や「グリーンテックか、グリーンのためのテクノロジーか。持続可能なIT方程式の両側のバランスをとる」、「CIOサミット-企業向けデジタル変革」などに加えて、エッジや衛星を利用した非地上ネットワークを含む接続技術が自動車、輸送、物流の生産性とセキュリティをどのように変革し始めているかを探る議論も展開する。
展示の1つに、ゼロタッチ・オペレーションがあった。障害が発生したら自動で原因を解析し、解決策を見つけるもので、回復までの時間を75%削減できるというもの。土井氏によると、目的はヒューマンエラーをゼロにすることと、エンジニア不足の解消にある。対象は目下のところ、国際ローミングのみだが、広げていく考えもあるという。(田中克己)