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2023.10.25

中堅・中小企業のクラウド移行が2030年に2兆円弱相当の生産性向上をもたらす

 「2030年には、クラウドベースの技術を導入する日本のMSMEにより、医療、教育、農業の分野全体で年間最大1兆9000億円相当の生産性向上効果と、520万人の雇用を創出する」。アマゾン・ウェブ・サービスとアクセンチュアがこのほど発表したクラウドが社会や経済に与えるインパクトに関する調査レポートによる。MSMEとは中堅・中小企業のことで、彼らがクラウド移行による潜在効果を検証したもの。

 同レポートは2030年までにMSMEの9割がクラウド移行を前提に算出している。現状は、Webベースのメールサービスやクラウドベースのストレージ・ソリューションなど基礎レベルのクラウドテクノロジーを導入している日本企業の割合は68%になる。CRMやERPなどアプリを使用する中レベルは少ないとみられる。AIなど最先端技術の高レベルの活用になると19年時点で4%未満だという。クラウド導入の大きな機会があるというわけだ。

 そこで、500社超のMSMEを調べて、インパクトを数値化した。医療分野の効果は最も大きく、年間に1億2000億円相当の生産性向上効果があるという。例えば、6000万件のオンライン医療相談を予想する。教育分野は年間5000億円相当の生産性向上効果を見込む。国内の学生400万人がクラウドによるeラーニング を介して、教育にアクセスする。農業分野では年間1000億円相当の生産性向上効果を期待される。3軒に1軒の農業従事者が生産性向上のための精密農業ソリューションを使用する。20年比で130%増になる。

 こうした数字を出すことで、両者は日本のGDPの5割を稼ぎ出す中堅・中小企業のクラウドを加速させたいのだろう。だが、クラウド化で本当に生産性を高められるのか。成功例と支援策を示すが、中小企業の経営者は本当のことを理解できないから導入しないのではないか。基礎レベルの中小企業が簡単に使えて、すぐに効果を発揮する安価なソリューションが必須だ。(田中克己)

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