VRやAR、MRなどの技術動向や活用に関する第2回XR総合展が6月29日から7月1日の3日間、東京ビックサイトで開催された。製造業や建設業などの現場にVR/ARを適用する需要拡大に応えるソリューションやサービスが多数出展されたものの、熟練者らが遠隔地から保守作業を支援したり、操作などを教育指導したりするといった数年前に紹介された域を出ない活用段階に留まっているように思えた。「実証実験から実用段階に入った」と、進展を説く業界関係者もいる。
重電機器などを展開する明電舎の子会社は、仮想空間上のアバターを活用した安全体感や技能訓練を行うソリューションを展示する。社内用に開発した研修体験の仕組みで、近く販売を開始する計画。MRとデータサイエンスの技術を組み合わせて、教育や研修、業務支援などのソリューションを提供するDataMeshは、3Dデータを持つ建設業や製造業にMRを活用した在宅勤務や遠隔教育、技術継承などの仕組み作りを提案する。機械商社の住友商事マシネックスも、MR遠隔支援アプリを披露する。年間ライセンス利用料48万円、導入支援費(年)43万円と料金を明確にし、売り込み攻勢をかける。キヤノン子会社は、キヤノン製MRを活用した自動車生産工程の事例を紹介する。
ビーライズは、VR/ARを使った研修・教育シミュレーションを出展する。創業のCG制作のノウハウと技術を活かしたもので、たとえば災害時の簡易基地局の設置方法のシミュレーションや、医療などの教育システムに応用する。大和ハウスグループの南国アールスタジオは、VRやMRを活用した企業向けプラットフォームを提供する。工場の点検などを遠隔から支援するなど製造業や教育に多く使われている。日本マイクロソフトでMR事業を担当していた同社代表取締役の泰勝敏氏がリードする。
サービス業などの活用も一部あった。大手SIのTISは、360度カメラで撮影した映像を使って作成した仮想空間の中で、観光や買い物、イベントを体験できる仕組みを作りたり地域を募集を開始した。地域活性化プロジェクトと位置付けて22年9月に京都市伏見区深草エリアを舞台にしたサービス体験会を開く。人材派遣のヒト・コミュニケーションズは、アバター接客サービスを展示する。伊藤園など30社以上の実績を持つという。(田中克己)