IDCジャパンが21年3月末時点の新型コロナによる国内IT市場への影響予測を発表した。20年9月末時点に比べて、2020年の実績は4.1ポイント改善し前年比2.2%減の17兆8991億円となったという。21年の市場規模は前回調査より0.2ポイント悪化し、2.7%増の18兆3772億円と予測する。
同社によると、コロナは飲食や宿泊、運輸などのサービス業を中心に国内経済へ深刻な影響を与える一方、サプライチェーンの混乱が収まり、製造業を中心とする国内の主要産業は回復しつつあり、テレワークや各種サービスのオンライン化による非接触の定着によって、通信分野のIT支出が国内IT市場を牽引する。
製品別では、通信事業者による携帯電話通信料金値下げによるスマホの買い替え需要の増加、テレワークの進展による通信インフラの増強、IT市場のクラウドシフトや利用形態のサブスクリプション化の進展によって、通信インフラやソフト、IaaSの需要が拡大する。産業分野別では、運輸を除く、すべての産業がプラス成長に回復する。従業員規模別では、経営体力に乏しい中堅・中小企業が厳しい状況に追い込まれており、21年もマイナス成長になりそうだという。
2020年から2025年の年間平均成長率は2.6%と予測し、25年の国内IT市場規模は20兆3776億円とみる。同社担当者は「新型コロナを契機とした、ITが実現する新たな人や組織間のつながりによって、各産業でどのような新たな価値をもたらすかをユーザー企業とともに考え、支援していくことが重要」とする。(田中克己)