IDCジャパンが3月30日、国内の法人向け5G関連IT市場を発表した。2020年から2026年の年間平均成長率は198%で、2026年の市場規模は1436億円と予測する。ここに含まれるのは、5G活用を前提にしたITシステム構築のために必要なITインフラ(ハード)やソフト、サービスになる。
同社リサーチマネージャーの小野陽子氏は「2020年は限定された小さな市場で、まずは(3Gを進化させた通信規格)LTEのリプレースから始める。真の使いどころはDX(デジタル変革)になる」と説く。ユースケースは3つに集約できるという。1つは4K、8Kなどによる新しい映像解析だ。2つめは、本社から離れた現場の課題解決への利用になる。たとえば、生産性の向上や熟練者不足の解消、作業員の安全確保などだ。3つめは、社会システムの全体最適化だ。代表例はMaaSやサプライチェーンになる。
一方、サプライヤーの反応は推進派と静観派に2分するという。小野氏によると、5G推進派はビジネスに直結し、産業構造を変えたり、課題を解決したりする強い意識がある人たちだという。対して、静観派は「5Gならではの用途があるのか」とか「コストが高い」などと、冷ややかな見方をする。大手キャリアの中にもいる、それでも5Gの課題を把握し、10年以内に主流になると主張する。(田中克己)