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IT最新事情

2018.05.15

デジタル破壊に備える

「(デジタル)破壊に備える」。ガートナーの亦賀忠明最上級コンサルタントは4月末に開催した同社主催セミナーで、テクノロジーがビジネスに与えるインパクトを議論し、素早く行動に移すことを助言する。議論は「10年後に企業がなくなることを前提に、何をなすべきかを検討すること」。
亦賀氏によると、デジタルは10年前にできなかったことを、できるようにするもの。いわばサイエンス・フィクションがサイエンス・ノンフィクションになること。同時に業務システムが業務に合わせて、数年かけて開発する方法から、テクノロジー中心にビジネスをどうしていくかに変わる。IT部門もITベンダーに開発を依頼するのではなく、テクノロジーを駆使する人材を自ら育成、雇用し、ビジネスをドライブする。AIやブロックチェーンなどを自分で運転する技術を持つ、つまり内製化を推進する。
たとえば、アマゾンやアリババなどグローバル・プレイヤーのインパクトをおさえる。先取りした例は、米GEが2010年にサービス業への転換を決断したこと。「ソフトはおまけなので、開発者を作業者とみていたが、GEはソフトをからめたユーザー体験を高めようとし、ソフト技術者を大量に雇用した」(亦賀氏)。国内の事例で紹介したのは、会計サービスを展開するマネーフォワードだ。月数万円のサービスによって、同社に企業の決済情報がどんどん入ってくる。そのビックデータを分析することで、企業は税理士に頼んだり、SIを構築したりする必要がなくなる。会計士やSIerにとっては、まさに破壊者になる。
ITインフラも根本的に変わる。亦賀氏によれば、米国はM2(モード2)に変わり、10年後にM1はなくなる。つまり、SIがなくなることを意味する。グローバル・プレイヤーのインフラを活用し、米ネットフリックスのように1000万人から1億人を対象にするサービスを素早く立ち上げられる時代になった。「一度、作ったら、変えない」という日本企業のシステムに対する考え方は、時代遅れに。「極端な変化は起こらない」と、勝手に思う経営者も少なくない。(田中克己)

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