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2026.02.24

富士通がシステム開発の生産性100倍を実現、協力会社の影響を懸念

 富士通が2月17日、システム開発の生産性を100倍にするAI駆動開発「Takane Driven Initiative(TDI)」を開発し、この4月から社内で本格的に利用を開始すると発表した。要件定義から結合テストまでの全工程をAIで自動化する開発基盤で、目下の対象は2026年度中に法改正を伴う医療・行政向けの67の業種ソフトウエアを使用したITシステムになる。

 岡田英人AI戦略・ビジネス開発本部長は「当社が長年培ってきたシステム開発の知見と独自のAI技術を融合し、システム開発プロセス全体を自律型AIで一気通貫で開発する画期的な新技術だ」と胸を張る。時田社長直轄の特別チームが約1年で開発し、頻繁な法改正により改修コストが高くつく「ヘルスケアと行政」のパッケージシステムを最初の段階で設定した。AIが法改正の内容を読み込み、要件定義から結合テストまでを人間の介入なしで完遂する。マイクロソフトやグーグルの生成AIなどに、富士通独自AIの「Kozuchi」や「Takane」を加えたもので、いくつかのAIエージェントをそろえている。

 岡田氏によると、3つのブレークスルーがある。1つは、AIによる法令理解から要件定義までを自動化したこと。難解な法令条文をAIが読み解き、画面表示やデータベース更新などの修正点を整理し、システムの要件定義を正確に翻訳する。2つめは、AIが設計の誤りを指摘し、修正を繰り返し、AI出力の品質を有識者レベルに引き上げること。そこには暗黙知も取り込んでおく。3つめは、AIエージェントによる止まらない開発を実現したこと。複数のAIエージェントがリレーのように工程をつなぎ、失敗原因の調査から再修正までを自律的に行う。しかも24時間365日働く。

 富士通はTDIを金融、通信、小売り、製造など継続的にアップデートを求められる全業界の複雑なシステムに適用していく考えだ。人間の役割は、生産性を向上させるために、システムをAIレディに整えること。一方、人月ビジネスは崩壊し、システムの価値や使った分だけを支払う料金体系になる。「技術使用料や1年間の改修回数、エージェントAIの使用回数などを検討している」(岡田氏)。サービス型ビジネスになるということ。ただし、「トップラインは下がらない」と、SIビジネスの減収を否定する。「1案件あたりの費用は減るものの、人手不足からこれまで手をつけられなかった案件や機能追加を獲得できるようになる」という。「AIによる継続的でスピーディな進化」が新たな価値の源泉となる。

 同時に、SEは単純な改修作業から解放され、空いた時間を活用して顧客のビジネスに深く入り込み、新たな価値を生み出すクリエイティブな業務(フォワードデプロイドエンジニアリングなど)になる。TDIのPoCを手がけてきた富士通Japanの國分出特定プロジェクト対策本部長は「4000~5000人のエンジニアが文教とヘルスケアにかかわっており、(彼ら彼女らが)保守地獄から解放される」と語り、新たなビジネス開拓にあたり、収益をさらに伸ばせるという。そして、「エンジニアは昔のSEの役割に戻る」と岡田氏。言われたものを作るのではなく、ユーザーと一緒に考えるということだろう。

 岡田氏は「ITビジネスの変曲点になる」とし、悲願の人月ビジネスからの脱却を図るという。だが、富士通の大きな収益源であるシステム開発の抜本的な改革なのに、記者会見に隣のオフィスにいる時田社長や技術担当のマハジャン副社長、島津副社長は記者会見の会場に姿をみせなかった。(田中克己)

写真は岡田氏(左)と國分氏(右)

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