スウェーデンのネットワーク機器ベンダー、エリクソンと世界各国の通信事業者との合弁会社Adunaに、2025年2月、KDDIが資本参加した。Adunaは、各国の通信事業者が提供するネットワークAPIの共通化を図ることを目的に2024年9月に設立された。エリクソンのHPによると、Adunaは新しいアプリケーションが場所とネットワークを問わず機能することで、開発者により迅速かつ容易にイノベーションを起こすための道を切り開くというビジョンのもと、ネットワークAPIを組み合わせてグローバルに販売。容易にアクセスできる高度なネットワーク機能により、開発者は複数の分野で新しいユースケースを開発できるようになるという。KDDIのほか、América Móvil、AT&T、Bharti Airtel、Deutsche Telekom、Orange、Reliance Jio、Singtel、Telefonica、Telstra、T-Mobile、Verizon、Vodafoneなどが資本パートナーになる。
KDDIによると、5Gを中心とした最新の通信技術は様々なビジネスへの活用が期待されているが、グローバル展開を前提とした5G活用ビジネスの開発にあたって、サービス開発者は各国通信事業者のAPIごとに個別対応する必要がある。開発者が何百もある個々の通信事業者の様々な機能を統合することは困難。そこに共通APIの意味があるということ。
エリクソンの社長兼CEOであるボルジェ・エクホルム氏はMWC2025で、「5Gの収益化を目指し、開発者による世界中どこでも使える新しいアプリの開発を促進するため」などと、API共通化の狙いを説明する。KDDI代表取締役社長CEOの高橋誠氏もMWC2025で、Adunaのパートナーになった意義を説明。同社コア技術統括本部技術企画本部Beyond5G戦略室長の松ヶ谷篤史氏は「5Gの活用課題はマネタイズにある。自動運転やドローン配送、ロボット配送などがあるものの、なかなかスケールできていない。そうした中、サービス開発者らが使うAPIに注目を集める。各国の通信事業者ごとにAPIがあり、異なるので、開発者はいろんなAPIに対応せざるをえい」と、APIが5G活用とマネタイズを加速させると指摘する。(田中克己)