メニュー

NEWS&TOPICS

NEWS&TOPICS

2022.01.17

CES2022、デジタルの中心はモビリティとメタバースに

 デジタル技術見本市CES2022が1月5日から7日の3日間、米ライスベガスで開催された。2021年のデジタル展示から2022年は対面を含むハイブリッド展示へと一歩進めた。主催者のCTAによれば、約800社のスタートアップを含む約2300社が出展したが、約200社が対面からデジタル展示に切り替えたという。会期は当初より1日短い3日間とした。「すべての参加者と参加者の安全のために包括的な健康対策を実施した」(CTAの社長兼CEOのゲーリーシャピロ氏)。来場は例年の4分の1程度の4万人超で、約30%が米国外からで、とくに日本と韓国などが多かったという。

 CES2022の展示は、自動車技術やスマートアプライアンス、デジタルヘルス、ホームエンターテインメント、AI対応デバイスなどに加えて、NFT(非代替性トークン)とフードテック、宇宙技術などの新しいカテゴリを取り上げる。最も注目を集めたのは、ソニーによる電気自動車(EV)への参入検討の発表だろう。吉田憲一郎会長兼社長兼CEOが自ら現地入りし、会見の最後の数分間に「イメージング・センシングとクラウド、5G、エンターテイメント技術をコンテンツと組み合わせることで、ソニーはモビリティを再定義する」と語り、試作機を紹介した。AIとロボティクス技術を活用し、モビリティの可能性を追求するソニーモビリティの設立も発表した。このほかインテル系のモービルアイのトップは2024年に完全な自律運転を可能にするチップを1000ドルで販売できると予測するなど、自動運転技術関連も多数発表されていた。

 米ゼネラルモーターズ会長兼CEOのメアリー・バーバラ氏は1月4日のオンライン基調講演で、10年以内に消費者向けに自動運転車の投入を明かすとともに、新型EVのシボレー・シルバラードEVを発表。同社の技術系スタートアップBrightDropが電気商用車 EV600と電動パレットEP1に関する最新情報も紹介する。米クアルコム社長兼CEOのクリスティアーノ・アモン氏はデジタルシャーシやデジタルコクピットを車に取り入れる考えを披露。加えて、テレコミュニケーションデバイスとの位置づけになる次世代PCはARMを搭載し、マイクロソフトをはじめ多くのIT企業がARMをサポートすると予測もする。

 韓国サムスン副会長兼CEOのハン・ジョンヒ氏も基調講演で、同社の「Together for Tomorrow」ビジョンを発表し、「より持続可能で、適応性の高いコネクテッドな未来を築いていくには、さらなるコミュニケーション、コラボレーション、サステナビリティを推し進めるテクノロジーの進歩が必要」と強調。同社は持続可能な未来の実現に向けた第一歩として、完全にリサイクル可能な梱包材、太陽電池や無線で駆動するデバイス、新しい省エネ製品への取り組みを紹介する。仮想体験を提供するメタバース関連も展示する。

 韓国の現代自動車は、現実世界と仮想世界の往来を実現させる犬型ロボットを披露した。工場のデジタルツインを実現するメタファクトリ・コンセプトも打ち出した。このほかパナソニックやShitallなどがメタバース対応VRヘッドセットを展示したのをはじめ、数多くの企業がメタバース関連を紹介する。

 なお、日本からは80社近くが出展する。スカイドライブの空飛びクルマやグローバルモビリティサービスのモビリティサービス・プラットフォームなどJETROブースなどに参加したスタートアップは40社超にもなる。2023年のCESは1月5日から8日までラスベガスで開催する予定。(田中克己)

pagetop