IT調査会社IDCジャパンの鳥巣悠太シニアマーケットアナリストが9月5日の同社主催セミナーで、企業のビジネス創出をサポートするデータエコシステムの重要性を説いた。そこにデータのマネタイズ化のヒントが隠されている。
同社によると、IoTを利用する企業は15年の4.9%から17年に6%と増えた。しかし、多くは業務の効率化やコスト削減など内部プロセスの改善にとどまり、新しいビジネス創出へのデータ活用が本格するのはこれからになるという。そのカギがデータのマネタイズ化になる。実は、センサーなどからデータを収集しても、活用するアイデアがないことがある。必要なデータが十分に確保できないこともある。結果、PoC(概念実証)を実施しても、収益モデルを描けないので、本番稼働に発展しない。
この課題を解決する策として、同氏は世の中で生成される膨大なデータを活用したビジネス創出をサポートするデータエコシステムを提案する。簡単に言えば、IoTデータだけではなく、消費者のデータや協業先のデータなどいろんなデータを組み合わせて使うこと。スケールの拡大を重視し、目先の利益にとらわれないことも大切だ。
こうしたデータの自由取引を活性化させるデータ流通推進協議会やデータ銀行などが生まれており、これらの活用も期待できる。さらに、技術や法制度、心理面の課題も解決する。また、オープンイノベーションのコンソーシアムなど外部活動にも積極的に参加する。取りあえず出席し、情報収集しようという消極的な取り組みではだめだ。「こんなことができる」となったら、社内の誰に相談・交渉すれば、分かる仕組みにもする。そんな体制にし、データ活用時代をリードすることだ。(田中克己)
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2018.09.19